アルコールを分解しにくく、酒に弱い体質にもかかわらず飲酒を続けると、悪性度の高い胃がんにつながる可能性があることが、遺伝子の変異パターンから裏付けられた。国立がん研究センターや東京大などの研究チームが15日までに、胃がん組織の大規模な全遺伝情報(ゲノム)解析を行った成果の一つとして発表した。
 胃がんヘリコバクター・ピロリ菌の感染などが主因となる「腸型」と、要因がはっきりせず、悪性度の高いスキルス胃がんを含む「びまん型」がある。研究チームが日本や中国、韓国などの患者1457人から採取された胃がん組織を解析したところ、びまん型に多い遺伝子変異パターンを発見。このパターンはアルコールを分解しにくい体質や飲酒量の多さと関連しており、がんを発生させることが分かった。
 同センター研究所の柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長(東京大教授兼任)は「詳細なメカニズムを解明すれば、予防策につながることが期待される」と話している。論文は米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に掲載された。 (C)時事通信社