厚生労働省がツイッターに投稿した食中毒に関する注意喚起が人気を集めている。魚介類に寄生する「アニサキス」に関する投稿に職員の飼い猫が登場し、29日時点で3万回以上リツイート(再投稿)され反響を呼んだ。昨年のアニサキスによる食中毒件数は566件と過去最多を更新しており、同省は猫の手を借りてでも警戒を呼び掛けようと躍起だ。
 「猫パンチや猫キックではアニサキスは倒せません」。こう注意書きされた投稿は、16日に厚労省医薬・生活衛生局の公式アカウント「厚生労働省食品安全情報」から発信された。アニサキスの予防法にサンマの縫いぐるみとじゃれる猫の写真が添えられ、「かわいくてつい見てしまう」などのコメントが寄せられた。
 厚労省によると、猫は同局の女性職員と暮らす「ことちゃん」(雌、3歳)で、自宅で私物の縫いぐるみと遊ぶ様子を撮影した。同局の担当者は「桁違いに関心を持ってもらえた」と反響に驚きを隠せない様子だった。
 アニサキスは長さ2~3センチの寄生虫で、鮮魚の刺し身などから感染し、胃などに付着する。強烈な痛みを伴うことがある一方、治療薬がないため内視鏡で虫を取り出す必要がある。腸閉塞などを起こして手術に至るケースもある。
 アニサキスによる食中毒の報告件数は年々増加してきており、2013年の88件から22年は566件と6倍以上になった。認知度が上がって届け出件数が増えたことが要因との指摘もあるが、同年の全食中毒件数(961件)の約6割を占める。
 厚労省によると、予防法は目視が基本で、見つけた場合は虫を取り除き、一定の温度での加熱や冷凍が有効という。塩漬けや酢締めでは死滅しないため注意が必要だ。
 春先などに報告件数が増える傾向があるため、厚労省は「刺し身を食べる場合はよく確認して」と注意を呼び掛けている。 (C)時事通信社