胃がんを発症しやすくなる遺伝子変異を持つ人の一部は、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると、リスクが一層高まることが分かった。理化学研究所と愛知県がんセンターなどの研究チームが30日、日本の胃がん患者約1万1000人とがんを発症していない約4万4000人を比べて解析した成果として発表した。
 ピロリ菌感染は慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因になることが知られ、胃がんに進む可能性もあることから、感染検査や除菌に健康保険を使える場合がある。胃がんになりやすい遺伝子変異を持つ人は検査や除菌がより重要だという。論文は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載された。
 がん細胞はDNAの損傷を修復する機能が失われて生じ、異常な増殖を続ける。研究チームが特定した四つの胃がん関連遺伝子はこの修復機能を担っており、変異があると機能が低下する。ピロリ菌が生み出す「CagA」と呼ばれるたんぱく質も修復機能を妨げるため、感染すると発がんリスクがさらに高まる。 (C)時事通信社