子宮頸(けい)がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防する最新型の9価ワクチンが、4月から定期接種化された。厚生労働省によると、子宮頸がんにつながるウイルスの約80~90%に対応でき、罹患(りかん)率や死亡率のさらなる減少が期待される。
厚労省によると、子宮頸がんは子宮の出口付近にできるがんで、性交渉を通じ、若年層で発症する割合が比較的高い。ウイルスに感染しても約90%の確率で自然消失するが、長期間感染が続いた場合はがんになることがある。国立がん研究センターの統計によると、2019年には国内で約1万1000人が子宮頸がんと診断され、20年は約2900人が亡くなった。
HPVは200種類以上の遺伝子型があり、少なくとも15種類が子宮頸がんの原因となる。従来の2価、4価ワクチンはウイルスの65~70%をカバーしたが、9価ワクチンは対応範囲がより広く、一層のがん予防につながると見込まれる。
9価ワクチンは全額公費負担で、小学6年~高校1年相当の女性が対象だ。従来型は一定の間隔を空けて計3回ワクチンを打つが、9価は15歳になるまでに1回目を終えれば、接種は2回で完了する。すでに別のワクチンを打ち始めている場合は、医師と相談の上、9価に切り替えることも可能という。
厚労省によると、がんで亡くなった25~40歳未満の女性のうち、子宮頸がんが死因だった人は乳がんに続き2番目に多い。同省は「ワクチンで防げない感染もある。早期発見と治療のため、20歳になったら2年に1回、子宮頸がん検診を受けることが大切」と呼び掛けている。 (C)時事通信社
HPV新ワクチン定期接種化=子宮頸がん予防、今月から―死亡率の減少期待・厚労省

(2023/04/07 04:26)