小学4年~高校3年を対象にしたアンケート調査で、「上手な勉強の仕方が分からない」と答えた割合が2019年以降増加し、22年は7割近くに上ったことが11日、分かった。特に小学生で急増しており、調査に携わった研究者は「コロナ禍で体験から学ぶ機会が減り、試行錯誤や挑戦も少なくなったため、学習方法が身に付きにくくなったのではないか」としている。
 調査は東京大社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が実施している共同研究の一環。16~22年の7~9月、モニターとなっている全国の小4~高3を対象に質問紙やインターネットを通じて調査し、毎年1万人前後から回答を得た。
 その結果、上手な学習方法が分からないと答えた割合は小4~高3全体で19年に57.2%だったのが、22年には67.5%と約10ポイント増加した。高校生は7割前後で変わらなかったが、中学生は8.1ポイント増の68.1%、小学生は18.5ポイント増の61.1%と、学年が下がるほど増加の幅が大きかった。
 ベネッセ教育総研の木村治生主席研究員は「コロナ禍で観察や実験などの体験学習、家族や地域での活動が減る一方、スマートフォンやゲームなどの使用が増え、学習意欲が低下した」と指摘。そうした環境の変化は特に小学生に顕著に表れており、「最もインパクトを受けた可能性がある」と話した。
 学習方法と学習意欲、学習時間、成績のそれぞれの関連を分析したところ、学習方法の理解が進むと学習意欲も高まる関係にあることも明らかになった。成績との相関関係が一番強いのは学習方法で、成績と学習時間にはかなり弱い相関しか見られなかった。両研究所は「学習時間をやみくもに長くするよりも、学習方法を身に付ける方が成績向上の早道だ」としている。 (C)時事通信社