【ベルリン時事】ドイツで、嗜好(しこう)用大麻の合法化に向けた議論が加速している。政府は今月、闇取引を通じた粗悪品がまん延している現状にメスを入れようと、成人に少量の大麻所持を認める新たな方針を発表した。青少年に悪影響を及ぼすとの懸念も根強く、物議を醸している。
 「大麻が使用されている社会的な現実がある。長年の禁止政策は現実に目をつむり、若者の健康と法執行機関を犠牲にしてきた」。エズデミル食糧・農業相は12日、現状に制度が対応できていないと訴えた。
 最新の調査によると、ドイツでは18~64歳の8.8%が過去12カ月に大麻を使用。違法薬物を巡る検挙数の増加が法執行部門を圧迫しており、危険性が高い粗悪品の横行を巡る抜本的な対応が求められている。
 政府案は、登録された非営利グループ内での少量の売買や栽培を許可。公共の場では、25グラムまでの所持を認め夜8時までは使用を禁止する。また一部地域で専門店での販売による社会的影響を実証する。
 これに対し、ドイツ小児青少年医学会は「若者の使用は制限されるどころか、さらに広がる。若年層への危険性は明らかで、認知障害を伴う脳の変化をもたらす」と警告。保守派野党は「大麻を扱う業者は、若者を遠ざけるのではなく使用してもらおうとするはずだ」と、商用化に警戒感を示している。 (C)時事通信社