信用調査会社の東京商工リサーチ(TSR)は18日までに、全国の旅客船事業者79社中、半数を超える41社が2022年決算で赤字になったとする調査結果を公表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響とみられ、21年よりは回復したが、依然として低迷が続いている。22年4月の知床観光船事故後にはイメージが悪化し、一時的にキャンセルが相次ぐなどの影響もあった。
調査によると、22年は全体の51.8%の事業者が赤字となり、21年の74.6%に比べ回復した。外出自粛要請の緩和や全国旅行支援の実施などが要因とみられ、21年から22年にかけて売り上げが伸びた事業者は75.9%に上った。
ただ、22年決算は79社の売上高合計が計899億3500万円で、コロナ感染拡大当初の20年と比べると11.4%減少した。21年から22年にかけて売り上げが減った事業者も20.2%に上る。
TSRによると、旅客船事業者は小規模な会社が大半で、売上高5億円未満が74.6%を占める。知床観光船事故を受け、国土交通省は小型旅客船などを対象に、甲板下の区画で浸水拡大を防ぐ「水密隔壁」の設置などを義務付ける予定だが、資金や人手に余裕のない事業者は多いとみられる。TSR担当者は「国や自治体、業界が各事業者の安全対策をサポートすべきだ」と話している。 (C)時事通信社
旅客船業者、半数超が赤字=22年、コロナや知床事故影響―民間調査

(2023/04/18 05:05)