政府は27日、「異次元の少子化対策」の政策の中身や予算規模、財源を議論する「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)の2回目の会合を首相官邸で開いた。焦点となる財源では、政府・与党内で公的医療保険など社会保険料を引き上げる案が浮上している。一方、経済界や労働団体は現役世代への負担集中を警戒し、消費税を含む幅広い税財源の検討を求める声が出ている。
 岸田首相は27日の会議で、「政府として取り組むべき課題は多岐にわたる」と指摘。その上で、「具体的な制度設計や課題の整理について、さらに検討を深めてほしい」と述べた。
 政府は3月末、児童手当の所得制限撤廃などを盛り込んだ対策の「たたき台」を発表。6月にまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、子ども・子育て政策の予算「倍増」の大枠を示す。こども会議では5月以降に数兆円規模とされる対策の財源を巡る議論を本格化させる見通しだ。
 経団連は26日発表した提言で、子ども・子育て政策を含む社会保障制度の財源について「高齢者も含め応能負担を求めることで、現役世代の保険料負担を抑制していく必要がある」と指摘。「消費税を含めたさまざまな税財源の組み合わせによる新たな負担も選択肢とすべきだ」と訴えた。
 27日の会議でも、出席した十倉雅和経団連会長が提言について説明した。会議終了後、記者団の取材に応じた十倉氏は「社会保険料は基本的に働いている人たちが負担する。(少子化対策の財源は)社会で広く負担すべきものではないか」と述べた。 (C)時事通信社