政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らが執筆したコロナ対応の記録集が28日までに、日本公衆衛生協会のホームページで公開された。布マスク「アベノマスク」や東京五輪・パラリンピックを巡る対応などを網羅的に記載。緊急事態宣言の発出時期について、執筆者の脇田隆字・国立感染症研究所長は「政治的な意図でなかなか出すことができず、科学と政治のせめぎ合いを感じた」と指摘している。
タイトルは「新型コロナウイルス感染症対応記録」。2020~21年の流行状況や医療提供体制、ワクチンや治療薬の確保・供給状況などがまとめられている。
尾身会長らは21年6月18日、東京五輪・パラリンピックは無観客開催が望ましいとする提言をまとめ、記者会見に臨んだ。政府分科会メンバーの武藤香織東大教授は「分科会で正式な議事にはならず、懸念が表明されるのみで終わった。専門家としての社会的責任を果たすべきだとの意見が一致し、有志による記者会見を選択せざるを得なかった」と記録集で言及した。
執筆者は、分科会や厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の委員、各都道府県で対応を担った幹部職員など約90人。尾身会長らのコラムも掲載されており、コロナ対応の課題と提言が書かれている。 (C)時事通信社
新型コロナ、対応記録公開=「科学と政治せめぎ合い」―尾身会長、脇田所長ら執筆

(2023/04/28 18:24)