中国・Guangzhou Panyu Central HospitalのZhiyong Long氏らは、食事から摂取するポリフェノールの関節リウマチ(RA)の治療における有効性と安全性を検討したランダム化比較試験(RCT)47件・3,852例のシステマチックレビューとメタ解析を実施。15種類の食事性ポリフェノールを評価した結果、RA患者における28関節の疾患活動性スコア(DAS28)、炎症および酸化ストレスのマーカーを改善することが示されたとFront Immunol2023; 14: 1024120)に発表した。

最多はシャクヤク総グルコシドの23件、次がクルクミンの5件

 Long氏らは、China National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Pubmedなどの医学データベースに2022年11月8日までに登録された、RA治療における食事性ポリフェノールに関するRCTを検索。47件・3,852例を抽出し解析に組み入れた。

 解析対象とした食事性ポリフェノールは15種類。ただし、ザクロ、ショウガ、シナモン、ニンニクの各抽出物、レスベラトロール(ブドウ果皮などに含有)、プエラリン(葛根に含有)、ヘスペリジン(柑橘類に含有)、セサミンについて検討したRCTは各1件、Crocus sativus L.(サフラン)抽出物、クランベリー抽出物、ケルセチン(タマネギなどに含有)、茶ポリフェノール(カテキンなど)、オリーブ油のRCTは各2件のみだった。

 シャクヤクの総グルコシドが23件、クルクミン〔ターメリック(ウコン)に含まれる黄色色素〕が5件のRCTで検討されていた。

 大半のRCTでDAS28の改善が報告され、一部で炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)および赤血球沈降速度(ESR)、酸化ストレスマーカーであるマロンジアルデヒド(MDA)および総抗酸化能(TAC)の改善が報告されていた。

DAS28、CRP、ESRが改善、有害事象の増加なし

 ランダム効果モデルによるメタ解析の結果、シャクヤク総グルコシド摂取群では対照群と比べ、DAS28〔9件、加重平均差(WMD)-0.92、95%CI -1.52~-0.31、P=0.003〕、CRP〔17件、標準化平均差(SMD)-1.32、95%CI -1.81~-0.83、P<0.00001〕、ESR(16件、WMD -6.44、95%CI -9.24~-3.63、P<0.00001)の有意な低下(改善)が認められ、有害事象(15件、SMD 0.55、95%CI 0.44~0.69、P<0.00001)は少なかった。

 同様に、クルクミン摂取群では対照群と比べ、DAS28(4件、WMD -1.10、95%CI -1.67~-0.53、P=0.0002)、CRP(3件、同-0.35、-0.55~-0.15、P=0.0005)、ESR(5件、同-54.67、-88.32~-21.02、P=0.001)の有意な改善が認められ、有害事象(3件、リスク比0.31、95%CI 0.06~1.67、P=0.17)には有意差がなかった。

エビデンスレベルは低い

 ただし、いずれも研究間の異質性が高く、全ての結果でエビデンスの確実性は「低い」または「極めて低い」だった。

 Long氏らは「経済的な負担からRAの標準治療を受けることが難しい発展途上国の患者にとって、抗酸化物質であるポリフェノールを食事から摂取することは重要な補助療法になる」と指摘し、「より多くのRCTで食事性ポリフェノールの有効性と安全性を検証する必要がある」と結論している。

(太田敦子)