子どもの抑うつ傾向が新型コロナウイルス流行初期から改善せず、高止まりしていることが1日、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の調査で分かった。中等度以上だったのは1割超に上り、専門家は「周囲の大人は、子どもの体調や性格の変化を見逃さないでほしい」と訴えている。
 新型コロナ感染者は2020年1月に初確認された。同センターは20年12月、21年12月、22年10月の計3回、コロナが子どもに与えた影響を調べた。3回の調査では、全国の小学5年~高校1年の延べ1万680人に回答を依頼。有効回答率はそれぞれ5~6割ほどだった。
 抑うつ傾向を調べるため、同センターは思春期の子どもを対象とする国際的な指標を採用。「気分が落ち込む」「物事に対してほとんど興味がない」など9項目について質問した。
 3回の調査にすべて参加したのは小学5年と中学2年の2学年。小学5年で中等度以上だった割合は20年は4%だったが、21年は10%、22年は13%になった。中学2年は8%、13%、12%と推移した。
 2学年を含む全体を見ると、20年が6%だったが、21年は11%、22年は13%となった。一方、子どもの保護者では改善傾向が見られた。
 同センター研究所の森崎菜穂部長は「感染拡大から時間がたち、大人は不安や心配といった心の負担がコロナ前に戻りやすいかもしれないが、子どもは時間がかかる」と指摘。「そもそも子どもは抑うつに自分では気付きにくい。感染症法上の位置付けが5類に引き下げられた後も、周囲の大人は子どもに引き続き寄り添い、腹痛や頭痛、怒りっぽくなるなどの異変があったら声を掛けてほしい」と話している。 (C)時事通信社