新型コロナウイルス感染症法上の位置付けが8日、「5類」に移行する。2020年から始まったコロナとの戦いで浮き彫りとなった国と自治体の連携の課題と、今後のあるべき姿は何か。全国知事会の平井伸治会長(鳥取県知事)と、全20政令市で構成する指定都市市長会の久元喜造会長(神戸市長)にそれぞれ聞いた。
 ◇新しい時代へ動き始めた=平井伸治・全国知事会長
 ―足元の感染状況をどう見る。
 感染拡大の「第9波」に入り始めているのではとの兆候があり、連休後に5類に移行することへの不安感は現場にはある。政府は専門家の知見も交えながら、きちんと説明する必要がある。
 ―コロナ禍の3年間で国と地方の関係はどう変化した。
 国地方の関係は今までになく進んできた。互いがコミュニケーションを取りながら政策をアウトプットし、行動を起こすことが重要だったからだ。
 具体的には5類移行に当たっても、地方側から国にいろいろ意見を出し、ある程度のんでくれた。こちらは「従来の仕組みを全部パタッと切らないでくれ」と申し上げた。例えば、無料検査をできる仕組みを残すなどだ。高齢者施設や医療施設についても補助制度などが一定程度残った。
 このパンデミック(世界的大流行)で新しい時代へ動き始めたと思う。この経験を今後は子育て政策などでも展開していくべきだ。地方がメインのサービス主体で、国の政策とのかみ合わせが大事。感染症対策と非常に似ている。
 ―浮き彫りになった課題は。
 (政府の対応が)十分に機動的でなかったところは否めないと思う。昨年の第7波は従来のデルタ株と違う(大量の軽症患者が発生する)オミクロン系で、感染の様相が異なった。私も地方側委員として(国の会議で)発言したり国との折衝で仲間の知事の声を代弁したりしたが、政府はなかなか切り替えがなく、専門家の方々にも正直頭ごなしに否定された。
 ―新しい感染症危機に備え、政府は内閣感染症危機管理統括庁と国立健康危機管理研究機構(日本版CDC)を設置する。
 危機管理統括庁に地方の代表を常に入れ、感染症が起こった有事のときは(地方側から同庁に)リエゾンを派遣することも選択肢として考えていい。日本版CDCは理事会のようなところに、厚生労働省の関係者や学会の中央の人だけでなく、多様な(地方の)現場の意見が反映される仕組みがあっていいと思う。 (C)時事通信社