新型コロナウイルス感染症法上の位置付けが8日、「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する。緊急事態宣言など行動制限の法的根拠がなくなり、政府が一律で要請していた感染対策は個人の判断に委ねられる。感染者の集計方法や医療費の負担も見直され、3年以上にわたる異例のコロナ政策は大きな区切りを迎える。
 移行後は、無料だったウイルス検査や外来診療が自己負担となる。政府試算によると、新型コロナの初診料は最大4170円で、季節性インフルエンザの初診料4450円と同程度となる見通し。毎日の新規感染者の発表はなくなり、特定の医療機関からの報告を集計する「定点把握」に基づき、週1回の公表に変更される。
 新型コロナは2019年末に中国湖北省武漢市で感染が報告された。日本国内では20年1月に初の感染者を確認。変異株が登場するなどして「第8波」に至る流行が繰り返された。高齢者施設や医療機関などを中心にクラスター(感染者集団)も発生し、医療体制は一時逼迫(ひっぱく)した。
 新型コロナワクチンの接種は21年2月に始まり、最新技術を用いた米製薬2社の「メッセンジャーRNAワクチン」が主に使用された。1~3回目の接種率はそれぞれ81.1%、80.2%、68.7%(今年5月1日時点)に上った。
 21年12月には軽症者向けの飲み薬も承認された。厚生労働省はワクチンや治療薬について、緊急時に審査を簡略化できる「特例承認」や「緊急承認」を適用した。
 日常の感染対策として、「3密」回避とともにマスク使用が定着。政府は屋内での着用を推奨してきたが、今年3月にルールを緩和し、屋内外を問わず個人の判断に委ねることとした。空港での水際対策も大型連休初日の4月29日に終了し、ワクチン接種証明などの提示が不要となった。 (C)時事通信社