新型コロナウイルスが8日に感染症法上の「5類」になるのに伴い、自治体のコロナ対応は節目を迎える。保健所が入院を調整し、限られた病院が患者を受け入れてきた体制から、他の疾病のように医療機関が広く担い、調整する姿に切り替える。自治体の幹部は「病床逼迫(ひっぱく)対応は引き続き今後の対策のベース」と指摘。感染再拡大に備える。
 入院体制を巡り都道府県は9月末までの「移行計画」を策定。主に確保病床のある病院などが担う体制から、約8300の医療機関が対応する形となり、感染拡大「第8波」の最大入院者数5万3000人を超える約5万8000人を受け入れ可能とした。入院調整は原則医療機関同士が行うが、重症者や調整困難な場合は自治体が支援する。
 北海道は行政と医療機関で話し合う場を設け、スムーズな移行を目指す。道医師会の三戸和昭常任理事は「過去の流行では場所によって急激な増加が見られた。地域で面倒を見切れなくなったときの応援態勢が気になる」とし、広域サポートを道に求める。
 福岡県では医療機関から「軽症者の受け入れは可能だが、容体が急変したときの転院先が必要だ」との声が出たといい、病床を確保するとともに、国や県のシステムを活用した空き病床の見える化を進める。
 通常の医療体制への移行に伴い、自治体の確保病床は、重症者や配慮の必要な患者に重点化していく。東京都は最大約7400床だった確保病床を約3100に縮小。感染状況を見つつさらに縮減し、その間約570の病院で軽症者らの受け入れを進める。重症者らの入院調整は9月末まで都や保健所が関与。小池百合子知事は「ハイリスク層を守る体制を当面維持する」。大阪府の吉村洋文知事は「他の病気も、府が確保しなくても入院病床はある。徐々にそうしたものに近づける」と説明する。
 外来対応の医療機関は現在の約4万2000カ所から約2000増えるが、政府目標の約6万4000には遠い。東京都の担当者によると、新たに患者を受け入れて内部に感染が広がる事態を懸念する診療所が多いといい、都はパーティションなどの設置を支援する。
 千葉県は医療機関の相談に応じており、担当者は受け入れに悩む診療所などに「季節性インフルエンザ並みの患者を診てもらえれば十分。ハードルは低い」と説明。過去のコロナ感染は夏に急拡大しており、別の担当者は「今夏はどの程度になるかが課題」と話す。 (C)時事通信社