オーストラリア・University of New South WalesのNelson Wang氏らは、高血圧に3~4種類の降圧薬の配合薬(polypill)を用いる低用量併用療法(low-dose combination;LDC)の有効性と安全性をランダム化比較試験(RCT)7件・1,918例のシステマチックレビューとメタ解析で検討。その結果、血圧の低下幅と目標値達成の点でLDCは通常ケア(単剤療法)およびプラセボより優れており、忍容性が高かったとJAMA Cardiol2023; e230720)に発表した。

4~12週で約6割が140/90mmHg未満を達成

 Wang氏らは、PubMedとMEDLINEに2022年9月までに登録された研究を検索。標準用量の2分の1以下の降圧薬3剤または4剤の配合薬によるLDCの降圧効果を単剤療法またはプラセボと比較したRCT 7件・1,918例(平均年齢59歳、女性38%)を解析に組み入れた。RCTの内訳は、3剤LDCが4件、4剤LDCが3件で、単剤療法との比較が5件、プラセボとの比較が4件だった。

 主要評価項目は、LDC群と単剤療法群またはプラセボ群との収縮期血圧(SBP)の平均差とした。その他の評価項目は、目標血圧140/90mmHg未満を達成した患者の割合、副作用の発現率、治療中止率などとした。

 解析の結果、投与開始後4~12週時点でのベースラインからのSBP低下幅は、単剤療法群の12~18mmHgと比べてLDC群では16~28mmHgと有意に大きかった(平均差7.4mmHg、95%CI 4.3~10.5mmHg、P<0.001)。プラセボ群との比較でも、結果は同様だった(同18.0mmHg、15.1~20.8mmHg、P<0.001)。

 4~12週時点で目標血圧140/90mmHg未満を達成した患者の割合についても、LDC群は単剤療法群〔66% vs. 46%、リスク比(RR)1.40、95%CI 1.27~1.52〕、プラセボ群(54% vs. 18%、同3.03、1.93~4.77)と比べて有意に多かった(全てP<0.001)。

 サブグループ解析では、ベースラインでの降圧薬使用例を含むRCTと除外したRCTの間で有意差は認められなかった。

降圧効果は6~12カ月まで長期間持続

 さらに、長期追跡を行った2件のRCTの解析でも、投与開始後6~12カ月時点でLDC群は単剤療法群と比べてSBP低下幅(平均差6.4mmHg、95%CI 1.8~11.0mmHg、P=0.006)、140/90mmHg未満の達成率(72% vs. 59%、RR 1.21、95%CI 1.10~1.32、P<0.001)が有意に優れていた。

 安全性の評価では、LDC群は単剤療法群と比べてめまいの発現率が高かったものの(14% vs. 11%、RR 1.28、95%CI 1.00~1.63)、その他の副作用の発現率や治療中止率には単剤療法群およびプラセボ群と有意差がなかった。

 以上を踏まえ、Wang氏らは「低用量の降圧薬3~4剤を併用するLDCは、高血圧の管理法として有効で忍容性が高い選択肢であることが示された」と結論している。

(太田敦子)