新型コロナウイルスの感染対策で行った在宅勤務を認められず給与を減額されたのは不当だとして、大阪市立中学校の元教諭松田幹雄さん(67)が同市に減額分の給与と慰謝料計約114万円の支払いを求めた訴訟の判決が17日、大阪地裁であった。横田昌紀裁判長は「校長が新型コロナの事情を考慮しないまま、漫然と在宅勤務を承認しなかった」として違法性を認め、市に約9万円の支払いを命じた。
 判決によると、松田さんは2020年3月12~17日、私用でスイスに渡航。欧州で新型コロナが流行し始めていたため、学校に相談して同月19~31日は研修名目で在宅勤務をしたが、最終的に欠勤扱いになった。
 横田裁判長は判決でまず、学校側が当初は在宅勤務として扱う方向で対応していたのに、大阪市教育委員会からの連絡を受け、同月24日に松田さんに出勤命令を出したと認定した。
 その上で、「自宅を研修場所とすることは原則、許されないと定められている」との市側の主張に対し、松田さんが帰国した当時、日本でも新型コロナの感染拡大の兆しがあったと指摘。「市が3月21日以降に帰国した教職員には2週間の特別休暇を与えた事情を考え、松田さんについて例外的な取り扱いを認めるべきか考慮すべきだった」と述べた。
 松田さんは判決後に記者会見し、「市教委などの判断が間違っていると認定してもらった。対策を見直して、今後に生かしてほしい」と語った。 (C)時事通信社