厚生労働省は19日、新型コロナウイルス感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことを受け、「定点把握」に基づく感染者数を初めて公表した。8~14日に報告された医療機関1カ所当たりの患者数は2.63人(速報値)で、前週の1.46倍だった。同省は「4月以降の緩やかな増加傾向が続いている」としている。
 厚労省は「2類相当」だった新型コロナについて、全ての患者情報を集める「全数把握」を実施してきたが、移行に伴い7日に終了。8日からは全国約5000の医療機関から報告を受ける定点把握に変更された。
 14日までの1週間に報告があった感染者数は計1万2922人で、医療機関1カ所当たりの都道府県別では、沖縄の6.07人が最も多く、最少は高知の1.27人だった。年代別では、10歳未満や20代で前週からの増加幅が大きかった。
 定点把握に基づく昨年10月~今月7日の参考値も発表した。感染拡大「第8波」に見舞われ、1日当たりの感染者が20万人を超える日もあった昨年12月19~25日は29.80人に上った。移行直前の今月1~7日は1.80人だった。
 一方、同省は「5類に移行してさまざまな前提が変わった」として、定点把握を用いた感染者数の全国推計はしない方針。今後は搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」などを通じて感染動向の把握に努め、季節性インフルエンザで採用している「注意報」や「警報」などの指標も当面設けない。
 死者数に関しては、例年の水準をどれだけ上回ったかを示す「超過死亡」を基に推測する。6月から定期的に公表する予定だ。 (C)時事通信社