日本専門医機構は昨日(5月22日)記者会見を開き、理事長の渡辺毅氏が来年度(2024年度)における臨床研究医の資格要件を緩和する方針を明らかにした。臨床研究医コースの応募者数は、コースが創設された2021年度以降減少が続いており、対策を講じる必要に迫られていた(関連記事「臨床研究医、定員に満たず2次募集」)。

臨床研究医コースの専攻医数は26人→18人→13人と3年連続減

 臨床研究医コースは、著名な学術誌に掲載される論文数が減少するなど、昨今の日本における医学研究基盤の脆弱化が懸念される事態を重く見た同機構が2021年度に設けた専門医研修の1つである。

 このコースにより、将来にわたり継続的に一定数の医学研究者を育成する環境の整備が期待されているものの、2021~23年度の応募者数はいずれも定員(40人)に満たず、最終的な採用者数は順に26人、18人、13人と3年連続で減少した。

研修期間、発表論文の内容を変更

 臨床研究医の希望者数が伸び悩んでいる原因について、同機構は①資格取得までの研修期間が長い、②必要とされる発表論文の条件が厳しい、③研修中、医師としての身分保証が曖昧になる懸念がある-が挙げられると推測。そこで①に関しては、これまで7年間(卒後3~9年)としていた研修期間を、最短で5年間になるよう変更した。また②に関しては、研修期間中、論文検索用データベースScience Citation Index(CI)に収録されている英文雑誌に筆頭著者として論文を2本以上発表する必要があるとしていた条件を緩和。2本のうち1本は英文による症例報告または和文による臨床研究に関する論文でも可とした。

 一方、③に関して渡辺氏は「抜本的な解決は難しい」と述べつつ、「最短の研修期間を短くすることで、間接的にではあるが身分保障が不安定になる期間も短縮される」と説明した。

 なお、今年度までに臨床研究医コースを専攻している者についても、今回決定した措置を適用することが決定したという。

 来年度における臨床研究医コースの専攻医は今年9月に募集を開始する予定だ。

(陶山慎晃)