公益財団法人川野小児医学奨学財団は、全国の大学医学部医学科の学生を対象に医学部への入学理由や学生生活、進路などに関するインターネット調査を実施。5月18日に公表した結果によると、興味がある診療科は内科、外科に次いで第3位は小児科だった。小児科に興味を持った主な理由は「子供好きだから」で、「小児科医が不足しているから」との回答も2割超を占めた。

医学部を志望した時期は「高校生」が約半数

 今回、全国の大学医学部医学科に通う医学生を対象に、医学生の医学部志望理由、学生生活・進路についてインターネット調査を実施した〔実施期間:3月1~2日、回答数166人(男性47人、女性119人)〕。 対象のうち現在、奨学金(貸与型/給付型/貸与型と給付型の併用)を利用している医学生は37.3%で、最も多かったのは貸与型奨学金(19.3%)だった。

 医学部を志望した時期は、「高校生のとき」が約半数(47.6%)と最も多く、次いで「小学生のとき」(33.1%)、「中学生のとき」(17.5%)の順だった。

 なぜ医学部を志望したかを聞いたところ(複数回答)、「医師になって世の中の役に立ちたいと思ったから」(48.2%)、「医師になって患者さんの病気を治したいと思ったから」(44.0%)といった社会貢献への意欲を感じる回答が多かった。 その一方で、「医師になれば高い収入が得られると思ったから」(34.9%)との回答も見られた。

小児科への興味にメディアによる影響も

 興味のある診療科について聞いたところ(複数回答)、「内科」(43.4%)が最も多く、次いで「外科」(25.3%)、「小児科」(22.9%)の順だった(図1)。

図1. 現在、興味のある診療科について(複数回答)

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男女別に見ると、男性は「内科」(44.7%)、「外科」(29.8%)、「整形外科」(27.7%)の順に多かったのに対し、女性では「内科」(42.9%)、「小児科」(25.2%)、「外科」(23.5%)と男女差が見られた(図2)。

図2. 男女別に見た現在、興味のある診療科について(複数回答)

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 前述の興味のある診療科について、「小児科」と回答した学生に理由を尋ねた結果(複数回答)、最も多かったのは「子供が好きだから」(65.8%)で、約7割を占めた(図3)。次いで、「自分や家族が病気になったとき、小児科の先生にお世話になったから」(26.3%)と、自身の体験から興味が湧いた様子もうかがわれた。さらに、「映画やドラマ、本などを通じて興味をもったから」(23.7%)、「小児科医が不足しているから」(23.7%)と続き、メディアや社会課題も影響を与えているようだ。

図3. 小児科に興味がある理由(複数回答)

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〔図1~3とも(公財)川野小児医学奨学財団調べ〕

 日本の小児医療の課題については、小児科医の不足や少子化による影響を指摘する意見が顕著だった。また、指定難病の多くは先天性で小児に多いといった小児疾患の特徴や治療に関する課題も見られた。

 一方、小児科と回答しなかった学生に理由を聞いた結果、「子どもや親とのコミュニケーションが大変そうだから」(35.9%)が最も多かった。

(田上玲子)