改正健康増進法に基づく受動喫煙対策の強化について、国立がん研究センターは31日、20歳以上の44%が「知らなかった」とする調査結果を発表した。改正法は2020年4月に全面施行されたが、国民の認知が不十分な実態が明らかになった。世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」(31日)に合わせて公表した。
 改正法では、飲食店やオフィスなど多数の人が利用する施設は原則として屋内禁煙となり、違反者への罰則も設けられた。同センターは3年経過後の認知度を調べるため、今年4月にインターネットによるアンケートを実施。20歳以上の男女2000人(喫煙者1000人、非喫煙者1000人)から回答を得た。
 改正法による対策強化を「知らなかった」と答えたのは44.1%で、「知っていた」(34.8%)を9.3ポイント上回った。「知らなかった」と答えた割合は非喫煙者の方が高かった。
 政府に力を入れてほしい対策を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「たばこ税の引き上げ」(41.9%)で、「受動喫煙対策の強化」(41.5%)、「健康影響についての普及啓発活動の充実」(34.9%)などが続いた。
 同センターたばこ政策情報室の平野公康室長は「改正法に基づく対策強化の認知度は全体で3割台にとどまっており低い。国は普及啓発にもっと力を入れてほしい」と話している。 (C)時事通信社