滋賀県甲賀市の甲賀広域行政組合消防本部が2021年、新型コロナウイルスワクチンを接種しなかった30代職員について、「接種拒否者」として職場内で接触を制限し、廊下脇の協議スペースで業務させていたことが1日、分かった。その後、職員は退職したという。
 同本部によると、ワクチン接種を拒んだ警防課の職員に対し、感染防止対策で21年5月から協議スペースでの勤務を指示。更衣室の利用も制限し、職場内での行動記録の提出も求めた。職員は以前、インフルエンザワクチンで副反応が出たことから、コロナワクチンは打たなかったという。
 また、「接種拒否者への業務区別」とする文書を作成して回覧し、他の職員との接触も制限した。職員は同年8月末、自己都合で退職した。
 消防本部の担当者は取材に、接触制限などは元職員から同意を得ていたとし、「未知のウイルスへの対応として当時は適切と考えていた」と説明。一方で、「『接種拒否者』という表現や職場での扱いについて配慮が足りなかった。早期に対応を検証したい」と話した。 (C)時事通信社