ブタの血液成分「血漿(けっしょう)」内のたんぱく質「アルブミン」を使い、イヌ用の人工血漿を開発したと、中央大の研究グループが発表した。長期保存が可能で、数年以内の製品化を目指すという。論文は14日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
血漿のアルブミンは、血液の浸透圧維持などに重要な役割を持つ。人間では、献血で集めた血液から作るアルブミン製剤が使われているが、イヌには献血システムはない。そのため、イヌはアルブミンが減る病気になっても、血漿を別のイヌからもらうしかなく、血漿を安定的に確保する必要性が指摘されてきた。
中央大の小松晃之教授らは、入手が容易なブタのアルブミンに注目。イヌにとっては異物で、体内に入れば拒絶反応の恐れがあるが、免疫反応を引き起こさない高分子化合物(ポリマー)を表面に結合させて包み込むことに成功した。完成した合成物は水溶性で、イヌの拒絶反応はなく、ラットで有効性も確認できたという。
小松教授によると、イヌの血液型に関係なく使えるほか、凍結乾燥で粉末にして1年以上保存できる。ネコにも投与可能と考えられるという。小松教授は「輸血で助かるはずのイヌやネコは多い。長期保存も可能なので、今後の輸血治療に大きな意義があるのではないか」と話している。 (C)時事通信社
イヌ用人工血漿を開発=ブタを利用、長期保存も―中央大

(2023/06/14 18:10)