旅行大手の近畿日本ツーリストが新型コロナウイルスワクチン接種関連業務で過大請求した事件で、大阪府東大阪市から約5億9000万円をだまし取ったとして、府警などは15日、詐欺容疑で、関西法人MICE支店(大阪市浪速区)支店長、森口裕容疑者(54)=奈良県天理市柳本町=ら3人を逮捕した。
府警などは今月1日、詐欺容疑で同支店などを家宅捜索し、関係資料を押収しており、全容解明を進める。
他の逮捕者は、同支店グループリーダーの臼杵賢一(58)=堺市東区日置荘西町、営業課長の太田幹雄(54)=大阪市阿倍野区阿倍野筋=両容疑者。府警は3人の認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は、2021年3月に東大阪市から受託したコロナワクチン接種のコールセンター業務で、同年9月~22年4月にオペレーターの人数を水増しして計約1億5900万円分を過大に請求。同市から業務委託費支払い名目で計約5億8900万円をだまし取った疑い。
社内調査では、過大請求の疑いが計約14億7000万円に上ることが判明している。調査に対し、太田容疑者は「担当事業で利益を上げようと思った」と説明。森口容疑者は不正を黙認し、再委託先に一部業務の実績を改ざんするよう指示していたとされる。
東大阪市のワクチン接種業務は、22年4月~今年3月も同支店が受託していた。府警などは同様の手口で他の自治体でも不正請求を行っていたとみて、組織的な関与がなかったかなどを調べる。
親会社のKNTーCTホールディングスは逮捕を受け、「今後も引き続き、捜査に協力していく。株主・投資家、関係者に多大なご迷惑とご心配をかけ、深くおわびする」とコメントした。 (C)時事通信社
近ツー支店長ら3人逮捕=5.9億円詐欺容疑―ワクチン業務で過大請求・大阪府警など

(2023/06/15 16:24)