旧優生保護法に基づき障害者らが不妊手術を強制された問題で、被害実態や立法経緯について、衆参両院の調査室などがまとめた報告書原案の全文が17日、関係者への取材で判明した。自治体などの資料から6550人分の手術記録が確認され、最年少は当時9歳の児童だった。旧厚生省の通知に基づき、目的を偽り手術を行った事例もあった。
約1400ページに上る報告書からは、旧法による深刻な人権侵害の実態が明らかになった。19日午後にも衆参両院の議長に提出される。
報告書によると、不妊手術の実施件数のピークは1955年。旧法下では約2万5000人が手術を受けたとされ、「本人同意なし」の手術は約66%に上った。
全体の約75%が女性。都道府県別では北海道が3224件で最も多く、宮城1744件、大阪1249件と続いた。最少は鳥取63件だった。
手術の背景には経済状況による育児困難、家族の意向や福祉施設の入所条件などがあった。最年少はいずれも当時9歳だった男女2人で、男児は昭和30年代後半に、女児は同40年代後半に手術を受けた。最年長は57歳の男性だった。
旧厚生省は、手術について「欺罔(ぎもう)等の手段を用いることも許される場合がある」との通知を出していた。資料からは「虫垂炎手術ということで納得させていた」「盲腸手術の時に本人に分からないうちにした」などの事例も確認された。 (C)時事通信社
強制不妊、最年少は9歳=国の報告書全文判明―旧優生保護法、衆参議長提出へ
(2023/06/17 15:42)