インフルエンザの感染拡大が続く中、早くも来季(今年秋~来年春ごろ)の早期流行が懸念されている。日本の流行予測に重要な南半球で患者が増えている上、新型コロナウイルス下で停滞した海外との人の往来も再開したためだ。専門家は例年より2カ月ほど早い10月にも流行が始まり、規模も大きくなる恐れを指摘する。
 南半球のオーストラリアは日本と季節が逆で、近く本格的な冬季に入る。豪州保健省によると、新型コロナ下の2020、21年は流行しなかったが、昨年は6月に大規模なピークを迎えた。今年は患者が5月から急増し始めており、世界保健機関(WHO)によると、南米のチリやパラグアイなどでも増えているとみられる。
 日本では、インフルエンザは12月に流行入りし、1~2月にピークを迎えることが多い。厚生労働省によると、新型コロナ拡大後は流行しなかったが、今季(22年秋~23年)は3年ぶりに流行し、各地で集団感染が相次いだ。免疫がない人の増加やマスク着用基準の緩和などが要因とされる。
 厚労省によると、今月18日までの1週間に報告された1定点医療機関当たりの患者は1.29人。2月中旬をピークに減少傾向が続くが、流行の目安(1人)を依然上回る。流行は近く収まる見通しだが、今季の患者は同日時点で推計435.9万人に上る。
 東京医科大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は「世界的な流行状況は新型コロナ拡大前に戻った」と指摘。「国を超えた人の往来が再開し、ウイルスが南半球から日本を含む北半球に流入するリスクが高まった。来季の流行確率はかなり高く、免疫がない人が依然多いため、今季より大規模になる恐れがある」と警戒する。
 慶応大の菅谷憲夫客員教授(感染症学)は「欧米の状況から考えると、10月ごろから流行が始まり12月初旬にかけてピークを迎える可能性がある」と分析。「今季は小規模で済んだが、人の往来が活発になったことなどから、規模は過去数年で患者が最多だった17~18年に近づく恐れがある。ワクチン接種を早めに受けてほしい」と訴えている。 (C)時事通信社