【ニューヨーク時事】米食品医薬品局(FDA)は6日、日本の製薬大手エーザイと米医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認したと発表した。原因とみられる物質を脳内から除去し、病気の進行を抑える効果が期待されており、治療の在り方を大きく変える可能性がある。
日本や欧州でも承認に向け申請が出されており、日本では遅くとも9月までに承認される見通しだ。
エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は7日、東京都内の本社で記者会見し、「アルツハイマー病の根本病理に関わる治療薬を米国に届けられる。万感胸に迫る思いだ。介護負担も大幅に軽減できる」と強調した。
アルツハイマー病は、脳の神経細胞が壊れることで認知機能が低下する病気で、「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質の蓄積が原因と考えられている。レカネマブはこの根本原因に働き掛けることを目指しており、臨床試験(治験)では初期段階の患者の病状進行を27%抑制した効果が示された。
FDAは今年1月にレカネマブを迅速承認し、世界で初めて使用を許可。ただ、いわば「仮免許」のような仕組みで、公的医療保険の適用はほとんど認めていなかった。FDAの諮問委員会は先月、投薬による効果が確認できたとして、正式承認を勧告していた。
今回の決定により、一般の患者も保険で金銭負担を抑えながら使用できる道が開けた。従来使われてきた薬は、症状を一時的に和らげる効果しかなく、新薬への期待は大きい。 (C)時事通信社
アルツハイマー新薬、米が正式承認=エーザイなど開発―進行抑制に効果

(2023/07/07 12:35)