日本神経学会は昨日(5月29日)、厚生労働省に問い合わせていたレカネマブ18カ月以降の継続投与に関する保険請求⽅法4点について、回答があったとして公式サイトで内容を公表した。それによると、継続投与に関する診療報酬明細書・摘要欄への記載は、継続投与を判断した初回投与施設で⾏うなどと回答している。レカネマブの投与期間は原則18カ月までとされている。

診療報酬明細書・摘要欄への記載は初回投与施設の判断理由を再掲

 厚労省が2023年に公開した『レカネマブ(遺伝⼦組換え)製剤に係る最適使⽤推進ガイドライン』では、次の点が記載されている。

・レカネマブ投与期間中における有効性および安全性の評価や投与継続・中⽌の判断は、初回投与施設で対応すること

・初回投与から起算して18カ月を超える投与については、投与継続が必要と判断した理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。判断した理由については、臨床認知症尺度(CDR)全般スコアの推移、Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアの推移、患者および家族・介護者からの⾃他覚症状の聴取などによる臨床症状の評価を踏まえた有効性の観点、アミロイド関連画像異常(ARIA)の有無や副作⽤発現状況などを踏まえた安全性を含めて具体的に記載すること

 これらについて同学会は今年(2025年)5月12日、次の4点を厚労省に問い合わせており、同月26日に回答があった。

① 18カ月以降継続投与の判断は、初回投与施設において⾏うこととされているが、その際の診療報酬明細書の摘要欄への記載は初回投与施設で⾏うことでよいか。

 厚労省の回答は「初回投与施設で⾏うことでよい」としている。

② 18カ月以降の継続投与は連携施設で行うことが予想されるが、連携施設では投与ごとに診療報酬明細書の摘要欄への記載を要するか。

 この点について、厚労省は「連携施設には投与ごとに診療報酬明細書の摘要欄への記載をお願いしたい。投与開始後6カ月以降の投与の際に診療報酬明細書の摘要欄への記載を求めている留意事項通知の記(3)および(4)についても記載をお願いする」と回答。

③診療報酬明細書の摘要欄への記載は、初回投与施設での判断理由を再掲することでよいか。

再掲することでよい」としている。

④投与後18カ月時点の評価により投与継続を判断した場合、その判断が次の24カ月時点まで有効と考えてよいか。

 これに対し、厚労省は「医学的判断による。添付⽂書の⽤法・⽤量に関連する注意 7.2 項を踏まえると、少なくとも 6カ月ごとの評価は必要と思慮する」としている。その前提として、同学会が指摘している通りガイドラインでは『投与は原則18カ月までとする』とされており、「現時点では18カ月を超える投与データは限られているため、18カ月以降の投与の必要性については慎重に判断してほしい」と付言している。

(編集部・田上玲子)