全身の筋肉が動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の神経細胞を人工多能性幹細胞(iPS細胞)で再現し、細胞死を抑える薬をマウスの実験で発見したと、京都大iPS細胞研究所の井上治久教授らの研究グループが24日発表した。グループは「すぐに患者の治療に使えるわけではないが、治療薬の開発研究に貢献が期待できる」としている。
 ALSは脳から筋肉に指令を伝える神経細胞「運動ニューロン」が変性し、消失する難病。原因や詳しい仕組みは不明で、十分な治療法がない。患者の約5%は血縁関係に患者がいる家族性ALSで、一部の遺伝子に変異があることが知られている。
 研究グループは家族性ALS患者の皮膚からiPS細胞を作り、運動ニューロンに変化させて詳しく調べた。健康な人に比べると、患者の運動ニューロンは異常なたんぱく質が蓄積し、細胞死を起こしやすいことが判明。薬を見つけるため化合物1416個を調べたところ、うち27個が細胞死を強く抑制した。
 このうち慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」は、細胞内で不要なたんぱく質を分解するオートファジー(自食作用)を促進し、異常なたんぱく質を減らした。ALSのマウスにボスチニブを投与すると、発症を遅らせ、生存期間を延長する効果が確認できた。 (C)時事通信社