内戦が続く南スーダンで昨年10月から今年4月まで、国際医療支援団体「国境なき医師団」のスタッフとして活動した園田亜矢さん(41)が12日までに東京都内で記者会見し、現地の悲惨な状況を訴えた。
 園田さんが派遣されたのは南スーダン北東部のマラカルとその周辺。マラリアや結核といった感染症の予防接種の実施や住民への啓発活動などに従事した。
 内戦でマラカル市街から避難した約3万人が住むマラカル郊外の国連民間人保護区について、園田さんは「異常な状態が日常になっていた」と説明。「戦争がない、仕事ができる、家族と一緒に食事ができるという日本では普通のことが、南スーダンでは全く普通ではない」と振り返った。
 テントがひしめく保護区内ではトイレやシャワーが不足し、雨期になると汚物が混じった水が小川のように保護区内を流れ、マラリアやコレラの感染者が増える。舗装された道路が少なく、雨期には道がぬかるんでトラック輸送が滞るため、食料などの物資も不足している。
 保護区内には働き盛りの年齢の男性も多いが、区外に出ると戦闘員とみなされて殺害される危険が高いため、事実上閉じ込められた状態だ。市街地に商売に出かけたり、薪を拾いに行ったりするなど生活のために外に出るのは女性だが、性的暴行の不安が常につきまとう。
 避難民は目の前で家族を殺されたり、一夜にして全財産を失ったりした人たちばかり。「いつ元の生活に戻れるのか全く分からず、希望がない。自閉的になったり自殺願望を募らせたりする人が多かった」という。
 また、支援活動は戦闘と隣り合わせだ。園田さんは1月末、マラカル北郊の反政府勢力マシャール前副大統領派が支配する地域で医療活動中、政府軍の攻撃が迫って北方の町に退避する経験をした。園田さんは「医療活動では政治・軍事的な流れに抵抗できない」と無力感も吐露。「いくら人道援助をしても焼け石に水。政治的解決がないと、持続的な解決にはならない」と訴えた。 (C)時事通信社