相模原市の障害者施設殺傷事件では、植松聖被告(27)が事件前に精神保健福祉法に基づき措置入院させられていたため、制度の見直しがクローズアップされた。全患者の退院後の支援計画策定が議論されたが、新規患者数は増加傾向にあり、年間7000人を突破。障害者団体などからは「差別、偏見を助長する」との批判も噴出した。
 厚生労働省によると、年度末時点の措置入院患者数は在院日数の短縮により、1500人程度で推移。一方、措置入院の申請や通報などは、7割を占める警察官通報の増加を背景に右肩上がりで、2015年度は2万5000件を超え、新規患者数は7106人に達した。
 先の国会に提出され、継続審議になった改正法案では、自治体が医療関係者や警察などで構成する地域協議会を組織し、入院中から患者ごとの支援計画を策定。退院後は相談指導を行い、転居した際は自治体間で引き継ぐとした。新制度に移行した場合、自治体は年7000件の計画策定を課されることになる。
 改正案をめぐっては、厚労省の説明資料に再発防止の趣旨が記されたため、学会や法曹界から「犯罪予防の保安的側面を背負わせかねない」との指摘が続出。国会でも同様の懸念が相次ぎ、「本人や家族が(患者ごとの)検討会議に参画すべきだ」と参院で決議された。
 厚労省は運用指針案で「支援期間は半年以内」とし、患者が拒否した場合、検討会議に警察は参加しないとする方向で検討している。 (C)時事通信社