京都大iPS細胞研究所の研究グループは1日、筋肉中に骨ができる希少難病に予防効果が期待される化合物を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を活用して発見したと発表した。化合物は既存薬として販売されており、グループは新たに難病の予防薬として承認を受けるため9月以降、京大など4大学病院で実際の患者に投与する「治験」を開始する方針。iPS細胞を活用した創薬に向けた治験は世界初という。
 研究グループは、難病の進行性骨化性線維異形成症(FOP)患者から作ったiPS細胞に、既存薬を含む6809の化合物を加え効果を検証。その結果、「mTOR」というたんぱく複合体の働きを阻害する既存薬が、異常な骨形成を抑制することを突き止めた。
 mTOR阻害剤は免疫抑制剤として使われ、日本ではノーベルファーマ(東京)が「シロリムス」という名称で販売しており、これをFOP予防薬の候補とした。
 京大病院で9月に治験計画の承認を受けた後、京大、東京大、名古屋大、九州大の4大学病院で実施。患者20人を対象に、薬を投与する人としない人を比較する試験を行い、その後20人全員に投与する。
 FOPは国内患者約80人の希少難病で、筋肉内に異常な骨が形成され、関節や首、口などが動かなくなる。1日に記者会見した研究グループの戸口田淳也・京大教授は「骨ができていない段階で投与すれば予防効果が期待できる。次の段階として、(症状が進んだ患者の)骨を取り除いて投与することで、新たにできないようにしたい」と話した。 (C)時事通信社