ブタの臓器をヒトに移植する医療を将来実現する上で障害となっているブタの内在性ウイルスを不活性化し、ウイルスが完全に働かない子ブタを誕生させたと、米バイオベンチャー企業「イージェネシス」などの研究チームが10日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。
 ブタの心臓などをヒトに移植したり、ヒトの臓器をブタの体内で作ったりする技術は、世界的な臓器提供者不足問題の解決につながる。しかし、ブタには細胞核の全遺伝情報(ゲノム)に組み込まれた「ブタ内在性レトロウイルス(PERV)」があり、移植後にがんなどが生じる恐れが懸念されていた。
 イージェネシス社などは、DNA配列の削除や挿入、置換を精度高く行える「ゲノム編集」技術を使い、ブタ細胞核のゲノムに組み込まれたウイルスを不活性化した。この細胞核をあらかじめ核を抜いた卵子に入れてクローン胚を作り、雌ブタの胎内に移植することで、ウイルスが働かない子ブタを誕生させた。今後、ウイルスがないブタ系統の確立を目指す方針。 (C)時事通信社