障害の有無にかかわらず子どもたちが同じ場で学ぶ「インクルーシブ教育」について、東京大大学院教育学研究科が実践的な研究に乗り出す。10年以上にわたり積極的に活動している大阪市立大空小学校と連携協定を結び、授業や指導、学校運営などを共同で研究する。また、教職員の人材育成にも活用する方針だ。
 多様性の尊重や助け合いといった意識を育てる効果が期待されるインクルーシブ教育については、文部科学省が推進政策を取る。同省は子どもの状況に応じた支援を自治体に要請している。
 ただ、普通学級に在籍しながら別室で「通級指導」を受ける小中学生は2016年度に約10万人と、制度が始まった1993年度の8倍に及ぶ。発達障害と判断される事例の増加が主な要因で「学びの場の分離が進んでいる」との指摘もある。
 大空小は「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」との理念を掲げ、06年4月に開校。障害を「個性」と見なして、一貫して全員が普通学級で学び不登校ゼロを続ける。保護者や地域住民と一緒に学ぶ「ふれあい科」など独自教科にも取り組む。
 木村泰子前校長ら教職員と児童の姿を記録したドキュメンタリー「みんなの学校」は13年度の文化庁芸術祭大賞を受賞し、注目を集めた。大空小の取り組みについて、教育学研究科長の小玉重夫教授は「障害児のためだけではなく、皆が通いやすい居場所になっている」と評価する。
 同研究科は今月21日、東大本郷キャンパスで協定の調印式と大空小の市場達朗校長による講演会を開く。今後、現地調査や教職志望者のインターンシップを行うほか、研修プログラム製作やシンポジウム開催などを検討中だ。小玉教授は「われわれが触媒となって全国に実践を広げたい」と抱負を語った。 (C)時事通信社