脂肪細胞から放出され、脳に満腹感を伝えるホルモンの作用を抑える酵素を発見したと、自然科学研究機構・基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の新谷隆史准教授や野田昌晴教授らが14日、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
 肥満になると、ホルモン「レプチン」の作用が低下して食べ過ぎてしまい、脂肪がさらに蓄積する悪循環を起こすが、原因はこの酵素「PTPRJ」と分かった。新谷准教授は「血糖値を下げるインスリンの働きも抑えるので、PTPRJの阻害剤を開発できれば、肥満と糖尿病の治療薬になる」と話している。
 PTPRJはこれまで、肥満した人の脂肪組織に多いとの報告があった。新谷准教授らはマウスの実験で、脳で摂食行動をコントロールする中枢「弓状核」の神経細胞にPTPRJが多いことを発見。レプチンが脳に届いても、神経細胞の表面でレプチンを受け取るたんぱく質を邪魔するため、作用が低下することを明らかにした。
 PTPRJの遺伝子がないマウスは、通常のマウスより餌を食べず、脂肪や体重が少なかった。レプチンを投与すると、食べる量や体重が大幅に減り、作用が強まっていることが示された。 (C)時事通信社