人の体外受精卵(胚)について、さまざまな細胞に変わる能力を担う重要な遺伝子「OCT4」を働かないようにしたところ、胚の細胞が増殖して球形の胚盤胞ができる際に内部の細胞群が成長不良となり、つぶれてしまうことが分かった。
 英フランシス・クリック研究所などの研究チームが、「ゲノム編集」と呼ばれる最新の遺伝子操作技術を使って実験した。他の重要な遺伝子も機能解析を進めれば、不妊治療の成功率向上に役立つという。論文は20日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表された。
 OCT4は、山中伸弥京都大教授らが皮膚細胞に導入して人工多能性幹細胞(iPS細胞)を生み出すのに使った4遺伝子の一つとして知られる。
 研究チームは英政府当局の指針に従い、不妊治療に成功して体外受精卵が余ったカップルなどから提供の同意を得た。実験に用いた体外受精卵は41個で、ゲノム編集技術を使えば正確に効率良く操作できるため、比較的少ない数で成果を得られた。
 マウスの体外受精卵でも同じ実験を行ったところ、胚盤胞の異常や他の遺伝子群への影響が人と異なることが確認された。 (C)時事通信社