増え続ける児童虐待に対応するため、最高検と法務省は25日から、全国の検事24人を集めた研修を初めて実施する。専門性の向上が狙いで、講師を務める医師は「虐待防止のため、関係機関が連携して情報を共有することが重要だ」と指摘する。
 厚生労働省によると、全国の児童相談所(児相)が対応した児童虐待の件数は年々増加し、2016年度は12万2578件に上った。一方、各地検は警察が逮捕するなどした親らの刑事処分を判断するが、児相との連携不足が一因となり、不起訴とした後に再び子供が虐待され死亡したとみられるケースもあった。
 こうした中、検察と児相、警察は、被害児童らの負担軽減のため、それぞれ実施していた事情聴取をいずれかの機関が代表して行うなど連携を強化。最高検も昨年6月、「刑事政策推進室」を設置して支援体制を整え、今回の研修を企画した。
 研修は5日間の日程で、外部講師として小児科医や児相職員ら10人が講義する。最高検の担当者は「虐待への対応で検察が果たせる役割は大きく、そのためには専門的な知識が欠かせない」と話す。
 講師の1人で「大阪急性期・総合医療センター」(大阪市)小児科の丸山朋子医師は、虐待された場合と通常の転倒事故の際に起きる脳の損傷の違いなどを説明する。丸山医師は「虐待を見逃さないことが大事で、情報共有は欠かせない」と強調する。
 別の講師で「四国こどもとおとなの医療センター」(香川県善通寺市)小児科の木下あゆみ医師は、13年に有志の勉強会を立ち上げ、高松地検の検事も参加した。その結果、検察と医療機関の意思疎通が深まったといい、「子どもを守るという共通の目標に向かって、それぞれ強みのある関係機関が協力することが重要だ」と指摘する。 (C)時事通信社