新潟市民病院(新潟市)の女性研修医が長時間の時間外労働が原因で自殺し、5月に労災認定されたことを受け、同病院は市民に病院の適正利用を呼び掛け、7月からは紹介状を持たない一般外来の新規患者の受け入れ制限を始めた。救急搬送者や医師の時間外労働が減少する一定の効果が出ているが、現場では公的病院として、患者を断れないという意識も根強い。
 新潟市民病院は、高度な医療を総合的に行う「3次救急医療」の病院に指定されており、近隣市町を含む地域の救急医療で中核的な存在。病院労組の田中文弥書記長は「公的病院として、患者を断らないのが大前提。そのためにしわ寄せがきて、スタッフが限界まで働いている。医師としての応召義務もある」と、対応の難しさを説明する。
 新潟市民病院の外来患者数は約26万8700人(2016年度)。同病院は労働基準監督署の是正勧告を受け、ホームページなどを通じ、不急であれば休日・夜間診療を控えるよう呼び掛ける「緊急宣言」を出し、患者受け入れを制限した。
 この結果、緊急対応宣言を出した6月6日から9月15日までの同病院への救急搬送者は、前年同期比で15%減少した。8月は前年に比べ、時間外労働が80時間を超えた医師が8割以上も減少した。
 篠田昭市長は「かなり負担の軽減になったと思う」としつつ、「市民の協力がなくてはとても安心できる状況ではない」とも話す。田中書記長は「現場感覚では以前と変化はなく、医師の絶対数が不足している」と指摘。「労使協定の上限にあたる残業80時間に近づくと、申告を自粛するケースもあるのでは」と懸念した。
 医療従事者の長時間労働は全国的な問題になっており、東京では外来を縮小するケースもある。昨年6月に労基署から長時間労働の是正を指導された聖路加国際病院(東京都中央区)は今年6月、土曜日の外来を従来の34診療科から14診療科に縮小。夜勤の医師数も減らし、時間外労働を平均で月95時間から40時間程度まで削減できたという。
 同病院は「患者家族への病状の説明などが、夜の遅い時間帯にできなくなったことに当初、一部で不満の声もあったが、現在はおおむね理解を得られている」としている。
 厚生労働省は8月、医師の働き方改革に関する検討委員会を立ち上げ、長時間労働を減らす具体的な議論を進めている。 (C)時事通信社