アスベスト(石綿)工場で働き中皮腫などの健康被害を受けた元労働者や遺族に対し、厚生労働省は2日、救済策として国が損害賠償金を支払うには訴訟での和解成立が必要だとして、国家賠償訴訟を起こすよう個別に呼び掛けると発表した。
 石綿被害の救済が思うように進まず、国が自ら国家賠償を促す異例の対応に踏み切った。賠償金受け取りの可能性があるのに訴訟を起こしていない元労働者は2314人に上り、まず名前や住所が判明している756人に訴訟を促すリーフレットを発送する。
 工場型の石綿被害をめぐっては2014年10月、最高裁が大阪・泉南アスベスト訴訟で排気ダクトの設置を義務付けなかったのは違法だとして、国の責任を初めて認めた。
 厚労省は判決を踏まえ、国を訴えた訴訟の中で、1958年5月~71年4月に工場で石綿粉じんにさらされる作業に従事▽その結果、石綿肺や肺がん、中皮腫などの健康被害を受けた-などの要件が確認された場合には、和解に応じ賠償金を支払うとしている。賠償金は今年9月末時点で、原告計236人に約21億円が支払われ、同197人が約15億円を求め訴訟中。
 和解手続きの問い合わせは、法テラス(0570-078374)や日本弁護士連合会ホームページ(http://www.nichibenren.or.jp/)まで。 (C)時事通信社