【ニューデリー時事】ミャンマーで迫害を受け、バングラデシュに逃れたイスラム系少数民族ロヒンギャの医療支援に当たる「国境なき医師団日本」の加藤寛幸会長(51)が4日、時事通信の電話取材に応じ、「夫を殺され、バングラデシュ国境まで来て出産した女性や、目の前で子供を殺されたと訴えている人がいる」とロヒンギャの苦境を語った。
 8月25日にミャンマー西部ラカイン州で治安部隊とロヒンギャの武装集団との間で戦闘が始まってから、バングラデシュに脱出したロヒンギャは50万人を超えた。小児科医の加藤会長は約1カ月前に現地入り。ロヒンギャの避難所の状況を調査し、1日から南東部コックスバザール近郊のマイナーゴナに診療所を開設した。
 マイナーゴナでは「かなり狭い地域に7万~8万人が暮らしている」状態。診療所を訪れた患者の女性は、10日前に到着したが、竹の骨組みにビニールを張っただけの避難所にさえ入れていない。「ミャンマーで夫を殺され、命からがら逃げてきた。国境を越える時に出産した」と泣きながら訴えたという。生後10日あまりの乳児も女性も衰弱が進んでおり、「話を聞いていて苦しくなる」ほどだ。
 他にも「家に放火され、逃げ出したところを撃たれた」「生きたまま火を付けられる人を見た」といった声も耳にした。
 今、特に危機感を持つのは、子供と女性の栄養状態悪化だ。「トイレがなく、飲料水も不十分。感染症の流行の恐れもある」という。
 加藤会長は、これまでも南スーダンやアフガニスタンなどで医療支援に携わった経験から「現場で問題が解決していないのに関心が失われてしまうことがある」と懸念している。「バングラデシュは日本とも関係の深い国。日本の人たちにも今後の成り行きを見届けてほしい」と訴えた。 (C)時事通信社