医療・医薬・福祉

アストラゼネカのリムパーザ、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異を有する高リスク早期乳がん患者さんに対する術後薬物療法において、死亡リスクを32%低下

アストラゼネカ株式会社
早期乳がんにおいて全生存期間の延長を示した最初のPARP阻害薬


本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年3月16日に発信したプレスリリース( https://www.astrazeneca.com/content/astraz/media-centre/press-releases/2022/lynparza-reduced-risk-of-death-by-32-percent-in-the-adjuvant-treatment-of-patients-with-germline-brca-mutated-high-risk-early-breast-cancer.html )を日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、第III相OlympiA試験でさらに良好な結果が示されたと発表しました。本試験では、アストラゼネカとMSDが共同開発を行ったリムパーザ(R)(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)が、局所治療および標準的な術前または術後化学療法を完了した生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の高リスク早期乳がん患者さんの術後薬物療法において、プラセボと比較し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示しました。

本試験の結果は、2022年3月16日に行われた欧州臨床腫瘍学会のバーチャルプレナリーで発表されました。OlympiA試験は、Breast International Group(BIG)主導の下、Frontier Science & Technology Research Foundation(FSTRF)、NRG Oncology、AstraZeneca、および MSDが提携して行っております(1)。

本試験では、主要な副次評価項目であるOSにおいて、リムパーザはプラセボと比較し、死亡リスクを32%低下させました(ハザード比0.68; 98.5%信頼区間 0.47-0.97; p値=0.009)。また、3年生存率はプラセボ投与群では89.1%であったのに対し、リムパーザ投与群では92.8%でした。さらに、4年生存率はプラセボ投与群では86.4%であったのに対し、リムパーザ投与群では89.8%でした。この試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、過去の臨床試験のプロファイルと一貫していました。

第III相OlympiA試験の主要解析結果は、2021年米国臨床オンコロジー学会年次総会で初めて発表され、The New England Journal of Medicineに掲載されています(2)。OSデータと主要解析結果は、この適応での米国食品医薬品局(FDA)による最近の承認の根拠となりました。

乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり、2020年に診断された患者さんは推定230万人です(3)。米国で、全乳がん患者さんの91%近くが早期段階で診断され、BRCA遺伝子変異を有する患者さんは約5~10%です(4,5)。

OlympiA試験運営委員会の委員長であり、Oncology at The Institute of Cancer Research, London and Kings College Londonの教授であるAndrew Tutt氏は次のように述べています。「OlympiA試験の最新データは、特定の遺伝子変異を有する乳がん患者さんにとってすばらしい知らせです。乳がんの多くは早期に発見され、多くの患者さんの転帰は良好ですが、診断時に高リスクと診断された患者さんは、がんの再発リスクが依然として高いままの可能性があります。OlympiA試験により、リムパーザがBRCA1/2遺伝子変異陽性の高リスクの早期乳がん患者さんの再発リスクを低下させただけでなく、全生存期間も延長させたことが示され、このような患者さんにおいて、がんに特異的な生物学的特性を標的とすることによるベネフィットを示す喜ばしい実証となっています」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べました。「今回の喜ばしい結果は、リムパーザがBRCA遺伝子変異陽性を有する早期乳がん患者さんの治療方法を大きく変える可能性をさらに裏付けるものです。OlympiA試験は、早期乳がんにおいてPARP阻害薬が延命効果をもたらすことを初めて見出し、早期段階でのがんへの取り組みにおける持続的なイノベーションの重要性を裏付けています」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「OlympiA試験の結果から、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者さんに術後薬物療法としてリムパーザを投与した場合、プラセボとの比較で生存期間が延長し、再発リスクが低下する可能性があることがわかりました。これらのデータは、リムパーザによる治療に適格と思われる患者さんを特定するために、診断直後にBRCA遺伝子検査を行うことの重要性を裏付けています」。

リムパーザは、第III相OlympiAD試験結果に基づき、化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がん患者さんに対する治療薬として、米国、EU、日本およびその他数カ国で承認されています。

※BRCA遺伝子変異陽性乳がんにおける術後薬物療法に対するリムパーザの適応は、本邦では未承認です。

以上

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早期乳がんについて
早期乳がんは、局所リンパ節転移の有無にかかわらず乳房に限局し、遠隔転移性疾患がない疾患として定義されます(6)。米国において、5年生存率は限局性乳がん(乳房領域のみに認められるがん)で99%、局所乳がん(乳房から、隣接する組織やリンパ節に広がったがん)で86%です(4)。早期乳がん治療の進歩にもかかわらず、高リスクの臨床的および/または病理学的特徴のある患者さんの最大30%が、数年以内に再発します(6)。また、BRCA変異のある乳がん患者さんは、変異のない患者さんと比較して、通常よりも若年で乳がんと診断される可能性が高くなっています(7)。

乳がんは生物学的に最も多様な腫瘍タイプの1つであり、その発症と進行の背景には、様々な因子が存在します(8)。乳がんの発症におけるバイオマーカーの発見は、この疾患の科学的な理解に大きな影響を及ぼしています(9)。

OlympiA試験について
OlympiA試験は、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんで、根治的な局所治療および術前または術後化学療法を完了した患者さんを対象に、術後薬物療法として投与したときのリムパーザの有効性および安全性をプラセボと比較検討する、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同第III相試験です(1)。

本試験の主要評価項目は無浸潤疾患生存期間(iDFS)であり、無作為化から最初の局所または遠隔での再発、新規がん発現、または死因を問わない死亡までの期間と定義されています(1)。

Breast International Group(BIG)について
Breast International Group(BIG)は、ベルギーのブリュッセルに拠点を置く、世界中の学術的な乳がん研究グループのための国際的な非営利組織です。

1999年に欧州のオピニオンリーダーによって設立された同組織は、乳がん研究における細分化への取り組みを目指しており、現在では、専門病院、研究センター、6大陸約70カ国の専門家から成る50以上の志を同じくする共同研究グループのネットワークとなっています。

BIGの研究は、「BIG against breast cancer」として知られている慈善事業の支援を一部受けています。この慈善事業は一般社会や寄贈者との交流、BIGの純粋に学術的な乳がんの治験や研究プログラムの資金を調達するために使用されています。

Frontier Science & Technology Research Foundation (FSTRF)について
FSTRFは、科学的に意義のある高品質の臨床試験を実施するために研究ネットワーク、製薬企業および研究者を支援する非営利の研究組織です。OlympiA試験には、米国の研究スタッフとスコットランドにある関連オフィスの研究スタッフが参加しました。

FSTRFは世界中の800を超える研究所、大学、医療センターの科学者や技術者と協力して、試験デザイン、解析、報告などの臨床試験プロセス全体にわたり包括的な研究サービスを提供しています。

この取り組みを通じて、FSTRFは、科学、医療および教育における統計学的科学、実践ならびにデータ管理技術の応用を前進させることを目指しています。

NRG Oncologyについて
NRG Oncologyは、米国の国立衛生研究所に属する国立がん研究所(NCI)から資金提供を受けているネットワークグループです。NRG Oncologyの下、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project (NSABP)、 Radiation Therapy Oncology Group (RTOG)、およびGynecologic Oncology Group (GOG)が、治療プラクティスを変えることを目的とした多施設共同臨床研究や橋渡し研究の実施により、がん患者さんの生活を改善するという使命を果たすべく集結しています。NRG Oncologyは米国でOlympiA試験を主催しました。また、NCI、Allizne、ECOG/ACRINおよびSouthwest Oncology Groupから資金提供を受けたその他成人がんの臨床試験研究グループと協力しました。なお、NCIとアストラゼネカは、協力的研究開発契約のもとで提携しています。

BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2(乳がん感受性遺伝子1/2)は、損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成する遺伝子であり、細胞の安定性維持に重要な役割を果たします(10)。これら遺伝子のいずれかに変異があるとBRCAタンパクが生成されない、または正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子異常を起こす可能性が高くなるとともに、リムパーザを含むPARP阻害剤への感受性を高めます(10-13)。

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(新規ホルモン製剤(NHA)など)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。

リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。

リムパーザは現在、DDR経路に欠陥や依存性があるPARP依存性の腫瘍タイプの治療薬として、多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、BRCA遺伝子変異陽性および相同組換え欠損症(HRD)陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単剤療法およびベバシズマブとの併用療法が用いられています。さらに、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含みます)、BRCA遺伝子変異陽性転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(EUおよび日本ではBRCA遺伝子変異陽性のみ)に対しても承認されています。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、がん細胞のDDRを標的治療とした薬剤であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

なお、本リリースに記載の効能・効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、こちら( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020122802.html )をご確認ください。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。

両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおける乳がん領域
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の承認済および開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。

アストラゼネカは、フェソロデックス(フルベストラント)およびゾラデックス(ゴセレリン)、ならびに次世代の経口選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD)および新薬候補のcamizestrantによって、HR陽性乳がんの転帰を継続的に変革することを目指しています。

PARP阻害薬であるリムパーザは、BRCA遺伝子変異を有する早期または転移性乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSDは、BRCA遺伝子変異を有する乳がんの患者さんにおけるリムパーザの研究を継続しています。

悪性度の高い乳がんであるトリプルネガティブ乳がん患者さんに必要な治療選択肢を提供するために、アストラゼネカは免疫療法のイミフィンジ(デュルバルマブ[遺伝子組換え])と、リムパーザおよびエンハーツを含む他のがん治療薬との併用試験を行い、化学療法との併用でAKTキナーゼ阻害薬であるcapivasertibの可能性を評価しています。また、第一三共と共同でTROP2指向性ADCであるdatopotamab deruxtecanの可能性を探索しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター @AstraZeneca( https://twitter.com/AstraZeneca )(英語のみ)をフォローしてご覧ください。


プレスリリースは以下よりダウンロードできます。
https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2022032514-10eaf87d510b4291f3b8237a0798511e.pdf
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