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ハイチ:首都に暴力の波──医療へのアクセスも困難に

国境なき医師団
ハイチのポルトープランス首都圏で武力衝突が深刻化し、国境なき医師団(MSF)は警戒を強めている。MSFの医療施設では、4月24日から5月11日までに少なくとも96人の銃撃の負傷者を受け入れた。 繰り返し拡大する暴力が、首都圏の保健医療体制を圧迫。医療施設は多数の負傷者に対応しなければならず、他の患者の治療に手が回らなくなりつつある。MSFは大規模かつ適切な人道的対応が緊急に求められると訴える。


ポルトープランスの航空写真=2021年9月25日 (C) Pierre Fromentin/MSF



暴力行為が閉ざした医療へのアクセス


4月24日から5月7日にかけて、首都北部の武装勢力間の抗争により、この地域に残る数少ない医療施設のひとつであるMSFのタバル地区病院は完全に飽和状態だった。活動責任者のムムザ・ムヒンドは「1週間の外傷患者の受入数は4月中旬の3倍に上り、その大半が手厚い処置を必要とする非常に深刻な銃創でした」と振り返る。

市街戦が医療に及ぼす影響は大きい。暴力被害が特に深刻な北部では、大勢の負傷者が見られる一方、ここ数週間で5つの医療施設が機能不全に陥り、2つの私立病院も職員1人が拉致された後業務を停止した。

脚の負傷でMSFの患者となった女性は「2つの病院を回った後で、タバルのMSF病院にたどり着きました。1つの病院は開いておらず、もう1つの病院には私の手当てに使える医療物資がありませんでした。私とバイクタクシーの運転手の服を破って、包帯の代わりにして出血を止めるような状況でした」と話す。

道路にはバリケードがあり、救急車を含む車両の移動が困難なことに加え、移動手段がなく、負傷してから24時間余り経過してから、受診する患者もいる。


再開を迫られた医療施設



タバル地区にあるMSFの病院=2021年10月1日 (C) Pierre Fromentin/MSF

シテ・ソレイユ市ドルイヤール地区のMSF救急施設も4月1日に安全上の懸念から業務を停止していたが、今回の事態を受けて急きょ再開せざるを得なくなった。現地の治安が悪いにも関わらずだ。

タバル地区病院のMSF医療顧問セルジュ・ウィルフリド・イコトは指摘する。「こうした条件下で医療施設の機能を維持することが、日々の課題です。地元の医療スタッフの一部は帰宅もできません。屋外を移動するたびに大きな危険にさらされます。MSFでは、スタッフの通勤の回数を減らせるよう、交代で24時間勤務を行っていますが、もう何日も自宅に戻れていないスタッフもいます」

武力衝突の最中で、人口密集地区のブルックリンに行き来するためのルートは、海上以外すべて封鎖された。行き来する人は例外なく狙われるため、住民も足止めされていた。普段、この地区を訪れる給水車も乗り入れられず、飲み水さえ不足した。武力衝突の影響を受けたほかの地区でも、多くの人が家から逃げ出し、避難生活を送っている。

「自宅に放火され、何もかも失いました。退院したら、避難所に行って、そこで過ごさなければならないのかと思い悩んでいます」両脚を撃たれ、MSFの医療施設で治療を受けた若い女性はそう嘆く。

「ハイチの人びとはこれ以上ない窮地に置かれています」活動責任者のムヒンドは訴える。「生活費が日に日に高騰しており、暴力からの避難者には、質の高い医療を含めた援助が必要です」
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