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<歩行モニタリング技術>日常歩行モニタリングが将来のフレイル進行の推定に応用できる可能性を確認

花王株式会社(ニュースリリース)
-1日約6,300歩、日常歩行速度約1m/sが境界値に-

 花王株式会社(社長・長谷部佳宏)パーソナルヘルスケア研究所と国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(理事長・荒井秀典)は、日常歩行をより正確にモニタリングできる歩行専用高感度活動量計を用いて疫学研究※1を行ないました。その結果、日常歩行モニタリングが将来のフレイル※2進行の推定に応用できる可能性があることを確認しました。この知見を、地域や企業への健康支援サービスのさらなる向上などへ応用し、歩行支援によるフレイル予防などを通して健康寿命延伸へと貢献していきます。  今回の研究成果は、国際学術誌「Scientific Report」に掲載されました※3、4。 ※1 ある特定の人の集団を対象として健康に関する事象の頻度や分布を調査し、その要因を統計的に明らかにする研究。 ※2 健康な状態と要介護状態の中間の状態。加齢とともに心身の活力が低下し、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態。


※3 Screening prefrailty in Japanese community dwelling older adults with daily gait speed and number of steps via tri axial accelerometers. Sci. Rep. 11, 18673 (2021) https://doi.org/10.1038/s41598-021-98286-0
※4 Predictivity of daily gait speed using tri-axial accelerometers for two-year incident disability among Japanese older adults. Sci. Rep. 12, 10067 (2022) https://doi.org/10.1038/s41598-022-14304-9

■高齢者の日常歩行をモニタリング
 花王は、高齢者の健康支援への応用などをめざし、3万人以上の歩行データをもとにさまざまなアプローチで研究を進めています。近年では、歩行動作をさらに詳細に解析できる技術の開発や、日常歩行モニタリングをさらに進化させる研究※5などに取り組んでいます。
 高齢者の歩行研究の分野では、これまで、シート式圧力センサー上を歩くなどの歩行試験により計測した歩行速度の低下が、将来のフレイルや要介護状態などの強い危険因子※6となることが知られています。しかし、このような歩行試験には、時間や場所、手間など、さまざまな制約があり、日常的な健康状態のセルフチェックに活用することは困難でした。
 そこで、日常的に装着可能な活動量計に着目しました。3軸加速度センサーを搭載し、日常歩行をより正確にモニタリングできる歩行専用高感度活動量計を用いて、歩数や日常歩行速度を計測し、将来のフレイルや要介護状態を推定できるかを、花王と、高齢者の疫学研究で実績のある国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部 島田裕之部長らの研究グループが共同で検討しました。

※5 2022年6月21日花王ニュースリリース:日常歩行モニタリングのさらなる進化
   https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2022/20220621-001/
※6 将来の疾患発生などの危険性を高める可能性がある因子のこと。

■歩数と日常歩行速度は、プレフレイルの可能性に気づく指標に※3
 運動機能の疾患がなく、要介護状態ではない60~91歳の1,692名を対象に、厚生労働省が作成した「基本チェックリスト」※7を用いて、プレフレイル状態(フレイルの前段階の状態)かどうかを判定し、歩行専用高感度活動量計(HW)で歩数と日常歩行速度を2週間計測しました。その結果、歩数は1日6,342歩、日常歩行速度は1.06m/sが、統計的に健常状態とプレフレイル状態を切り分けられる境界値(カットオフ値)となり、カットオフ値以上でプレフレイル状態の出現率が有意に低くなることがわかりました(図1)。

※7 平成18年3月28日厚生労働省老健局老人保健課事務連絡:基本チェックリストの考え方について
   https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/03/dl/tp0313-1a-11.pdf
図1 プレフレイル状態の出現率 (カットオフ値でグループ分け)

■日常歩行速度は、将来の要介護状態とも関係する可能性※4
 上記試験を実施してから2年後の要介護判定の結果をもとに、歩数と日常歩行速度が将来の要介護状態の危険因子になるかを調べました。上記カットオフ値を用いて、歩数が多いグループと少ないグループ、日常歩行速度が速いグループと遅いグループに分け、他の危険因子が影響しないように調整したうえで、要介護状態の発生率を比較しました。その結果、歩数は有意な差が出ず、有効な危険因子とはなりませんでしたが、日常歩行速度は強い危険因子となることがわかりました(図2)。
図2 2年後の要介護状態の発生率 (カットオフ値でグループ分け)

 本試験の対象者においては、日常歩行をモニタリングすることで、将来のフレイル進行を推定できる可能性があることがわかりました。今後さらに応用に向けた検討を進める予定です。

■まとめと今後
 今回見いだした、健常状態とプレフレイル状態を切り分けられる日常歩行の境界値(1日約6,300歩、日常歩行速度約1m/s)以上を目安に生活を送ることで、将来のフレイル進行のリスクを減らせる可能性があると考えられます。この知見を健康支援サービスのさらなる向上などへ応用するとともに、健康的な歩行を維持できるための研究開発も進めます。今後も、歩行支援によるフレイル予防などを通して健康寿命延伸に貢献し、一生涯を通して「歩く」という視点からのQOLの向上を支援していきます。
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