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【がんと仕事に関する意識調査結果】がん経験者の6割が「これまでどおり」働き、3割が働き方を変更

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所
~ “がんと共に働く”を応援するために

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所(本社:東京都港区、代表理事:守屋智敬)と、法政大学 キャリアデザイン学部 教授 松浦民恵が共同研究として実施した「がんと仕事に関する意識調査」には、3,166名(がん経験者:1,055名/がん経験者以外:2,111名)の声が寄せられました。 「がんと仕事」に関するがん経験者と周囲の人の意識や行動、がんになっても働き続ける上での課題や示唆を明らかにすべく、アンケート調査を実施しました。「がんと共に働く」を応援する社会に近づくことを願い、「がんと仕事に関する意識調査結果」を発表させていただきます。


【調査の概要】
◆調査目的:
「がんと仕事」に関するがん経験者と周囲の人々の意識や行動、がんになっても働き続ける上での課題や示唆を明らかにすること。
◆実施主体:
アンコンシャスバイアス研究所と、法政大学 教授 松浦民恵が共同研究として実施。なお、本調査は、法政大学大学院キャリアデザイン学研究科・研究倫理審査委員会で承認を得たうえで実施。
◆調査期間:
2022年1月20日(木)~2月19日(土)
◆調査対象:
・がん経験者に対する調査:2020年以前にがんと診断され、かつ診断時に働いていた方(有効回答数 1,055件)
・がん経験以外に対する調査:がんと診断されたことのない方(有効回答数 2,111件)
◆調査方法:
がん経験者とがん経験者以外を対象とするインターネットによるアンケート調査

※調査協力32団体(企業、NPO法人、がん患者支援団体、患者会)及び実施主体のネットワークを通じたスノーボールサンプリング方式で回答を収集していることから、回答サンプルが母集団を代表しているとはいえない。回答者の居住地域は一都三県が多く、がん経験者については「女性が多い」、「50代が多い」、「がんの種類は乳がんが多い」といったサンプル特性がある。また、「医療従事者」と推測されるサンプルも一部含まれる。示唆に富んだ調査結果ではあるが、だからこそこの点にもご留意いただいた上で調査結果をご高覧いただきたい。


【調査結果のポイント】


(1)がん経験者の6割が「これまでどおり」働き、3割が働き方を変更



<がん経験者のうち、雇用者に対する設問>
初めてがんと診断された後、結果として、仕事はどうなりましたか?(治療のために休暇・休業を取得、もしくは休職した後で復帰した場合は、復帰後の仕事についてお答えください。途中で経過観察期間に入った場合は、入る前についてお答えください。)
[詳細:調査報告書P45-47・63-64]

※がん経験者に対しては、基本的に「初めてがんと診断された時のこと」についてたずねている。以下同様。
※四捨五入のため、単数回答でも%の合計が100.0%にならない場合や、選択肢を合体させた%がそれぞれの%を足し合わせた数値と合致しない場合がある。以下同様。


(2)当初6割あった「罹患前のように働けなくなるかもしれない」は、時間経過とともに2割に減少




<がん経験者に対する設問(複数回答)>
初めてがんと診断された時、不安に思ったことはありましたか?また、そのうち時間と共に軽減された不安はありましたか?
※設問では「そのうち時間と共に軽減された不安」についてたずねているが、「該当なし」と「答えたくない」以外の項目については、その回答率を不安とした回答率から差し引いて逆転させ、「その後も減少しなかった(継続した)不安」として表示している。
[詳細:調査報告書P13-16・65]


(3)がんと診断を受けた部下を持つ上司の6割は、「治療と仕事の両立に対するイメージ」がポジティブに変化



<がん経験者以外のうち、身近ながん経験者がいた人に対する設問/身近ながん経験者が「勤務先の部下」のケースに限定して集計>
身近にがん経験者がいたことで、あなたの「がんの治療と仕事の両立」に対するイメージはどのように変わりましたか?
[詳細:調査報告書P19-20・66]


(4)仕事をこれまでどおり続けたいがん経験者の意向と、周囲の考えには大きな乖離がある




<がん経験者以外のうち、身近ながん経験者(当時働いていた人)からがんについて報告や相談を受けた人に対する設問>
・周囲(がん経験者以外)の考え方:がんと診断されたことについて報告や相談を受けた時に、その方の仕事に対してあなたが最初に思ったことを教えてください。
・本人の意向:仕事と治療の両立について、その方ご本人の意向はどうでしたか?
[詳細:調査報告書P21-22・67]


(5)「がんになっても、治療と仕事を両立したほうが良い」という意見は、がん経験者では6割、周囲では4割



<「がん経験者」と「がん経験者以外」に対する共通設問>
がんと仕事に関する意見について、あなたの考えはAとBのどちらに近いですか。それぞれ最も近いものをお選びください。
[詳細:調査報告書P34-37]


(6)がんと診断されたことを報告する上での懸念や心配の1位は、「かわいそう、気の毒だと同情される」




<がん経験者に対する設問(複数回答)>
初めてがんと診断された時、そのことを誰かに報告すると以下のようなことになるのではないかという懸念や心配がありましたか?
[詳細:調査報告書P42-44・69]


(7)がん経験者は、上司が理解・支援してくれた場合には6割が「これまでどおり働いた」、してくれなかった場合には3割が「働くことをやめた」



<がん経験者のうち、雇用者に対する設問/以下2つの設問のクロス集計(がんのことを上司に報告した雇用者に関する集計結果)>
・上司は、あなたの状況・意向を理解し、支援してくれましたか?
(してくれた/どちらかというとしてくれた/どちらともいえない/どちらかというとしてくれなかった/してくれなかった)
・初めてがんと診断された後、結果として、仕事はどうなりましたか? 
[詳細:調査報告書P50-51・70]


(8)がん経験者は、受けた対応すべてがうれしいわけではない




<がん経験者に対する設問(複数回答)>
初めてのがんの治療と仕事の両立において、あなたは、職場で以下のような対応を受けたことがありますか?また、そのうち、うれしかった対応はありますか。
[詳細:調査報告書P25-28・71-72]


【がんに対するアンコンシャスバイアスとその対処法】
「がんと仕事に関する意識調査」の結果から、がんと仕事に対するさまざまなアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が浮き彫りになりました。アンコンシャスバイアスに気づかずにいると、偏った判断、不適切な言動を誘発し、結果として負の影響をもたらすことも少なくありませんが、認知・判断・言動・結果のそれぞれの段階で対処することで、負の影響を軽減できる可能性があります。

※「びっくり離職」については明確な定義はないが、がんの疑いがあると言われた、あるいはがんと診断された人が、治療開始前など早い段階で退職・廃業してしまうことを、このように称することが多い。


【提言~がんと共に働く】
調査結果をもとに、アンコンシャスバイアスの観点から、“がんと共に働く”を応援するための6つの提言を発表させていただきます。 [詳細:調査報告書P58-72]

(1)がんと診断を受けた人への提言


提言1:がん診断直後の「びっくり離職」を回避するために、仕事に関する意思決定までに、自分自身のアンコンシャスバイアスに気づき、「上書き」する期間を取る。
提言2:がんに対する「アンコンシャスバイアスの上書き」のためには、特定の情報源だけでなく、さまざまな情報にアクセスすることが重要。
提言3:がん経験者からの報告や相談は、周囲の人の「がんの治療と仕事の両立」に対するイメージをポジティブに変化させる可能性がある。


(2)がんと診断を受けた人の周囲の人への提言


提言4:上司や家族等周囲の人は、がん経験者の仕事に関する意思決定に、負の影響を及ぼす可能性があることを自覚する。
提言5:上司は、「働き方」に関する部下のアンコンシャスバイアスを「上書き」する支援者となり得る。
提言6:周囲の人は、がん経験者の働き方について、当事者不在で判断せず、意向を確認する。



【有識者コメント】


国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 事業統括 若尾文彦氏



今回の調査は、がん経験者とがん罹患の報告を受けた身近な人の両面に実施したもので、後者には、家族、知人等に加え、職場上司も含まれた貴重なものである。
 調査では、上司の支援により、これまで通り働けたケースが多いこと、相談された上司の6割で治療と仕事の両立に関する意識が良好に変化をしたこと等が報告されている。国立がん研究センターが実施した平成30年度患者体験調査では、がん患者が罹患を話した職場の関係者では、上司が81%と最多で、次点の同僚54%を大きく引き離していた。
 このように、上司は両立支援のキーパーソンであり、部下や周りの人の罹患の経験が無くても、適切な支援ができるよう、当事者の意向をしっかり確認することを含めて、人事労務等が上司を支援する体制を整備することで、「がん治療と仕事の両立」が進み、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」に繋がるものと考える。


日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣範之氏



 この報告書は、がんと仕事に関する大規模な意識調査であり、がん経験者だけでなく、がん経験者以外の調査も含まれており、非常に意義のある報告書であると思われる。
 がん経験者としては、がんに罹患したとしても、これまでどおり働くことを希望しており、実際にそのようにできた人も多かった。また、がんと診断された際に、色々なことで、不安になることが多かったが、多くの不安は、時間が経過することにより、軽減されていった。がん経験者以外の調査では、身近にがん経験者がいたことにより、治療と仕事の両立に対するイメージがポジティブに変化する傾向がみられた。この調査結果は、仕事を継続していきたいという意思をもったがん患者さんがいた場合に、職場の上司や家族が、患者さんの意向を尊重し、がん治療を受けながら、仕事ともうまく両立できことを促進させることにもつながると思われる。


カルビー株式会社 常務執行役員/一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 理事 武田雅子氏



 沢山の方々のご協力のもと、3千名を超える回答が集まった今回の調査は、とても大きな意義のあるものだと感じています。
 がん経験者が、職場で、家族の中で、あの時は言えなくて一人で抱えていた思いや、気づかなかったりした気持ち、また周囲の人との関係がどうあるといいのか?できることはどんなことなのか?患者会活動の中でも多く寄せられるテーマです。今回、それらについて、一人ひとりの思いを集め、回答者の皆さまと一緒に見える化できたことをとても嬉しく思っています。
 私自身10年を超える患者会活動を通じて、きっとこうなんじゃないかな?と経験則でお伝えしてきたことも、今回データで見ることができ、とても心強く思いました。もちろん、がんは個別性の高い病気で「これが正解!」というものは決してありませんが、だからこそ周囲の人間がどうあるべきか?そんな示唆もある、今回の調査を一人でも多くの方に見て頂けたら光栄です。

【調査実施主体者コメント】


法政大学 キャリアデザイン学部 教授 松浦民恵



 アンコンシャスバイアス研究所から、研究所の知見を活かして社会に役立つ調査を行いたいと、最初にご相談頂いたのが2020年10月。アンコンシャスバイアスに関する理解を共有し、調査のテーマ設定から議論を始めて、その半年後ぐらいに「がんと仕事」に関する人々の「意識」について調査を行うことが決まった。
 その後、多くの方々の、さまざまな「思い」が詰まった本調査に、専門家として真摯に、かつ客観的な立場から向き合ってきたつもりだ。力不足の部分も多々あるが、発表という形で、調査結果を社会に還元する責任をひとまず果たせたことに安堵するとともに、この調査に関与する機会を頂けたことに感謝申し上げたい。なお、より詳細な集計・分析結果も、今後、本調査のHPにて公開させていただく予定である。


一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋智敬



 はじめにお伝えしておきたいのは、この調査では、「がんになっても治療しながら働き続けることが、何よりも良いことなのだ」と主張したいわけではありません。がんになって働き続けるかどうか、どのように働くかに正解などあるわけはなく、それぞれの人がそれぞれの状況に応じて納得のいく決断をし、それを実現できることが望ましいと考えています。
 本調査では、「がん」や「がん治療と仕事の両立」にひそむさまざまなアンコンシャスバイアスやその影響が浮き彫りとなりました。「がんになったら、今までどおり働くことはできないだろう」というアンコンシャスバイアスは、「これまでどおり働いた人が6割いた」という本調査結果により、上書きされるといったこともあるかもしれません。がん罹患者の3人に1人は、働く世代(15~64歳)といわれています。この調査結果が、「がんと診断をうけた人」と、「その周囲(経営層、管理職、職場メンバー、家族、医療従事者など)の人」のがんに対するアンコンシャスバイアスに気づくきかっけとなり、“がんと共に働く”を応援する社会に一歩でも、二歩でもつながるきっかけとなることを願います。

【「がんと仕事に関する意識調査」報告書のダウンロード】


▼「がんと仕事に関する意識調査」についてのホームページURLより、報告書のダウンロードが可能です。
https://www.unconsciousbias-lab.org/cancer

▼調査結果の引用時は、以下のとおり出典を明記してください。
出典:アンコンシャスバイアス研究所/松浦民恵「がんと仕事に関する意識調査」(2022年)

【本件に関するお問合せ】
一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所
https://www.unconsciousbias-lab.org/contact
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