医療・医薬・福祉

アストラゼネカのアカラブルチニブ(Calquence)、新型コロナウイルス感染症を対象としたCALAVI試験を開始

アストラゼネカ株式会社
本試験では、新型コロナウイルス感染症入院患者さんの過剰免疫反応に対するアカラブルチニブの効果を評価


本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年4月14日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、4月14日、新型コロナウイルス感染症の重症患者に関与すると考えられている過剰免疫反応(高サイトカイン血症)に対して、アカラブルチニブの効果を評価する無作為化国際共同CALAVI試験を開始することを発表しました。

本試験は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)が炎症性サイトカインの産生にかかわることを実証した強い科学的エビデンスおよび良好な初期臨床データに基づいて設計されました。アカラブルチニブは、現在いくつかの血液がんの治療薬として治験中の高選択性の次世代BTK阻害剤です。

CALAVI試験は、BTK阻害による炎症抑制が、新型コロナウイルス感染による呼吸窮迫症状を軽減することを示した、アカラブルチニブの初期臨床データに基づいています。本試験は、COVID-19による致死的症状を示す患者さんにおいて、死亡率の低下と人工呼吸器の必要性の低減を目的に、ベストサポーティブケアの補助療法としてアカラブルチニブ追加による有効性、安全性の検証を目的としています。

この大規模な多施設無作為化国際共同試験では、対象患者さんを2つのPartに分けるデザインを採用しており、早期にデータの抽出および分析ができるよう、記録的な速さで準備されました。Part 1は、集中治療室(ICU)に入室していない新型コロナウイルス感染症の入院患者さんを対象に、ベストサポーティブケア単独療法とベストサポーティブケアにアカラブルチニブを追加した併用療法を比較・評価するものです。Part 2では、ICU入院患者さんを対象に、ベストサポーティブケア単独療法とベストサポーティブケアにアカラブルチニブを追加した併用療法を評価します。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「本試験は、サイエンス・コミュニティで発見された新しいインサイトを活用したものです。アカラブルチニブをベストサポーティブケアの補助療法として加えることで人工呼吸器の必要性を低下させ、生存率を高めることが明らかになることを期待します。アストラゼネカがこれまで行ってきた試験の中で、この試験は最も速いスピードで準備されました」。

米国国立がん研究所(NCI)リンパ性悪性腫瘍科の責任者である医学博士・Louis M. Staudt氏は次のように述べています。「炎症の抑制におけるBTKタンパクの役割が十分立証されてきたことを踏まえると、アカラブルチニブによるBTK阻害は新型コロナウイルス性の重度肺疾患患者さんにとって有益な治療となる可能性があります。全ての新しい治療法に言えることですが、患者さんにとって最も有益で安全な治療選択肢を特定するためには、臨床試験によるデータの蓄積が必要です」。

CALAVI試験は、米国および欧州の数か国において、被験者登録を数日以内に開始する予定です。米国NCIのWyndham H. Wilson氏が治験責任医師、Louis M. Staudt氏が治験主任医師を務めます。

※アカラブルチニブは本邦では未承認です。

以上

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CALAVI試験について
CALAVI試験は、新型コロナウイルス性呼吸器疾患の入院患者さんを対象に、ベストサポーティブケア単独療法とベストサポーティブケアとアカラブルチニブ併用療法の有効性および安全性を評価する大規模な多施設無作為化非盲検国際共同試験で、2つのPartに分けて(Part 1、Part 2)実施されます。Part 1では、被験者を無作為に割り付け(1:1)、人工呼吸器を使用せず、ICUに入室していない入院患者さんにおける既存のベストサポーティブケア単独療法とベストサポーティブケアにアカラブルチニブを追加した併用療法の有効性および安全性を評価します。Part 2では、ICUに入室している、より重度の新型コロナウイルス性呼吸器疾患患者さんを無作為に割り付け(1:1)し、ベストサポーティブケア単独療法とベストサポーティブケアにアカラブルチニブを追加した併用療法の有効性および安全性を評価します。
(2020年4月14日付のグローバル発信プレスリリースから、2020年4月21日時点の最新情報に内容を更新しています)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)が惹起する新しい世界的大流行病です。ほとんどの新型コロナウイルス感染症症例(~80%)では、軽度の呼吸器疾患を呈します。しかし、主に肺炎を理由に入院が必要となる場合があり、急速に重度急性肺障害や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進行する場合には高い死亡率を示します(1,2,3,4)。ウイルス性の高サイトカイン血症や過剰免疫反応は、肺マクロファージや樹状細胞および/または好中球の修飾作用を惹起して、ARDSを発症させる説があります(5,6,7,8)。

アカラブルチニブ(CALQUENCE)について
アカラブルチニブは、次世代の選択的BTK阻害剤です。本剤はBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します(9,10,11,12)。B細胞においてBTKシグナルは、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています(13)。

アカラブルチニブは成人慢性リンパ性白血病(CLL)の治療薬として米国およびその他いくつかの国において承認されており、グローバルでの新薬承認申請が活発に行われています。また、米国およびその他いくつかの国で、前治療歴のある成人マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療薬としても承認されています。

BTK阻害について
肺マクロファージにおいて、BTKはTNFα、IL-6、IL-10、MCP-1など複数のサイトカインおよびケモカインの産生を制御する主要制御因子です。BTK阻害はこれらのサイトカインの産生を抑制するため、新型コロナウイルス性呼吸器症状を軽減する方法として有望視されています(13)。

制御を失ったBTK依存性マクロファージは、SARSコロナウイルス-2に対する過剰炎症反応に大きくかかわり、新型コロナウイルス性肺炎およびARDSにもかかわることが実証されています(4,5,6,7)。マクロファージでは、LR3、TLR7、およびTLR8はSARSコロナウイルス-2などのウイルスにおける一本鎖RNAを認識し、複数の炎症性サイトカインおよびケモカインの産生を促進するBTK依存性NF-κB・IRF3の活性化を通じてシグナル伝達を開始します(5,6,7,8)。リンパ系腫瘍患者さんにおいて、BTK阻害による治療は炎症性サイトカインおよびケモカインを減少させました。同様の作用はインフルエンザのマウスモデルにおいても観察されており、BTK阻害は炎症メディエーターを減少させ、致死的な急性肺損傷の発生を防ぎました。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については https://www.astrazeneca.com
または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Huang C, Wang Y, Li X, et al. Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China. Lancet. 2020;395:497-506.
2.Wu Z, McGoogan JM. Characteristics of and important lessons from the coronavirus disease 2019 (COVID-19) outbreak in China: summary of a report of 72 314 cases from the Chinese Center for Disease Control and Prevention. JAMA. 2020 Feb 24. doi: 10.1001/jama.2020.2648. [Epub ahead of print]
3. Zhou F, Yu T, Du R, et al. Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study. Lancet. 2020; 395:1054-62.
4. Channappanavar R, Fehr AR, Vijay R, et al. Dysregulated type I interferon and inflammatory monocyte-macrophage responses cause lethal pneumonia in SARS-CoV-infected mice. Cell Host Microbe. 2016; 19:181-93.
5. Huang KJ, Su IJ, Theron M, et al. An interferon-gamma-related cytokine storm in SARS patients. J Med Virol. 2005; 75:185-94.
6. Wong CK, Lam CW, Wu AK, et al. Plasma inflammatory cytokines and chemokines in severe acute respiratory syndrome. Clin Exp Immunol. 2004; 136:95-103.
7. Yoshikawa T, Hill T, Li K, et al. Severe acute respiratory syndrome (SARS) coronavirus-induced lung epithelial cytokines exacerbate SARS pathogenesis by modulating intrinsic functions of monocyte-derived macrophages and dendritic cells. J Virol. 2009; 83:3039-48.
8. Herold S, Becker C, Ridge KM, et al. Influenza virus-induced lung injury: pathogenesis and implications for treatment. Eur Respir J. 2015; 45:1463-78.
9. Calquence (acalabrutinib) [prescribing information]. Wilmington, DE; AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2019.
10. Wu J, Zhang M & Liu D. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).
11. Khan Y & O’Brien S. Acalabrutinib and its use in treatment of chronic lymphocytic leukemia. Future Oncol. 2018;15(6).
12.Byrd JC, et al. Acalabrutinib (ACP-196) in Relapsed Chronic Lymphocytic Leukemia. N Engl J Med. 2016; 374:323-332.
13. Buggy(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Buggy%20JJ%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22449073)JJ & Elias L.(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Elias%20L%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22449073) Bruton tyrosine kinase (BTK) and its role in B-cell malignancy. International Reviews of Immunology(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22449073). 2012 Apr;31(2):119-32. doi: 10.3109/08830185.2012.664797.2012
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