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「提言:G7広島サミットに向けて~国際社会と歩調を合わせたプラネタリーヘルス対策の推進~」を発表しました

HGPI
特定非営利活動法人日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)(事務局:東京都千代田区、代表理事:黒川清)は、第27回気候変動枠組条約締結国会議(COP27)および2023年G7広島サミットに向け、気候変動などの地球環境と人の健康について議論を喚起することを目的として以下の提言を発表いたしました。 本提言では、以下の3つの論点をアドバイザリーボードによる議論を通じて取りまとめました。


■提言の背景
2022年6月国土の3分の1が水没したパキスタンの記録的な洪水、ヨーロッパ各国を襲った熱波など地球環境の変化による健康への影響は深刻なものとなっている。また、気候変動と健康に関する影響について「Lancet Countdown」が10月に発表した最新の調査においても、気候変動が世界中の人々の健康に深刻な影響を与えており、世界が化石燃料に依存し続けることで、食糧難、感染症、熱中症などのリスクが高まることが報告されている。ドイツやイギリスで開催されたG7(先進国首脳会議)、イタリアやインドネシアで開催されたG20(主要20ヶ国・地域)、そして第26回気候変動枠組条約締結国会議(COP26)などの場でも、地球環境と健康について議論が行われてきた。

そして、2022年11月6日から18日には、COP27がエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催され、世界保健機関(WHO: World Health Organization)が主催するサイドイベントをはじめ、環境と健康についても議論が行われる予定である。COP27開催に向け、日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)では、グローバル・クライメイト・ヘルス・アライアンス(GCHA: Global Climate and Health Alliance)を中心に世界の保健医療・環境団体が取りまとめた提言「COP27 ヘルスコミュニティーの提言(COP27 Health Community Recommendations)」および「現在と将来の世代の生命を守るため、医療専門家たちが化石燃料不拡散条約を求める化石燃料不拡散条約(Health professionals call for Fossil Fuel Non-Proliferation Treaty to protect lives of current and future generations)」を求める書簡についてその基本的な考えに賛同し日本語訳を公表した。

日本においても、環境省が2020年12月に公表した「気候変動影響評価報告書」や政府の健康・医療戦略推進本部が2022年5月に本部決定した「グローバルヘルス戦略」で気候変動と健康への対策の必要性が言及され、長崎大学がプラネタリーヘルス学環を開設するなど、個別の取り組みが始まっている。政府は、2020年10月に2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを決め、経済政策を中心に対策を推し進めている。しかし、政府予算の約3割を占める社会保障、特にヘルスケア課題整理や方向性の共有は限定的である。

当機構では、2022年から「プラネタリーヘルス推進プロジェクト」を始動させた。マルチステークホルダーと協働して日本が「地球環境と健康(プラネタリーヘルス)」に関して取り組むべき課題を明らかにし、理解を深め、国内外に発信するとともに次のステップのきっかけを作ることを目指している。本プロジェクトの一環として、各有識者との意見交換などをもとに以下の3つの論点を取りまとめた。

2023年にはG7広島サミット(2023年5月19日~21日)をはじめ、気候・エネルギー・環境大臣会合(2023年4月15日~16日)が札幌で、保健大臣会合(2023年5月13日~14日)が長崎で予定されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19: Coronavirus Disease 2019)からの社会経済の回復の兆しがみられる中で、国際社会と歩調を合わせながら、国内外の議論をリードしていくことを期待する。

論点1:気候危機および地球環境の変化が健康に影響を及ぼすことについては疑う余地がない。保健医療従事者を筆頭に、全国民が環境問題を健康問題の一つとして認識し、解決に向けた包括的で包摂的な対策をとる必要がある


気候変動に対する有効な緩和策をとらなかった場合のシナリオでは、2030~2050年の間で年間約25万人の超過死亡が発生すると推定されている。現在のペースで炭素予算(カーボンバジェット)が消費された場合、わずか8年で許容される消費量、気候変動の転換点(ティッピングポイント)を超えてしまうと考えられている。これを超えた場合、気候変動は制御不能に陥るという報告もある。気候変動に対して最も脆弱とされるのは、途上国等で貧困層にいる人々であるが、日本においても熱中症や感染症による被害の拡大が想定され、人々のウェルビーイング(Well-being)、メンタルヘルス、住居、財産や生計手段等に対して大きな影響を与えることが指摘されている。保健医療従事者においては、慢性疾患や急性疾患を予防するための介入策の一つとして、環境問題への対策および国民への啓発を推進する必要がある。


論点2:気候危機および地球環境の変化に対する健康の強靭性(レジリエンス)を高める必要がある。そのためには、水害、熱波、感染症などに対する予防、備えおよび対応を進め、環境にやさしい保健医療システムを構築する必要がある


気候変動に関して、極端現象(豪雨・熱波等)の発生頻度とその強度が地球温暖化の進行に伴い増加すると予測されている。また、人獣共通感染症についても、気候変動や生態系の変化により増加が予測されており、こうした健康危機に対してレジリエントな保健医療システムを構築する必要がある。人間の健康を守るとともに、サプライチェーンを含む保健医療システム全体の再生可能エネルギーへの移行や環境負荷の少ない医療廃棄物への切り替え等の地球の健康にも配慮したコベネフィット・アプローチとされる対策が期待される。日本でも、ヘルスケアセクターの関係者全体が協力し、人々の生命健康に関与するものとして、率先して、カーボンニュートラルに向けた目標を掲げ取り組むことが必要である。 気候危機はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)への脅威でもあり、持続可能な制度へ転換するうえで、環境にやさしい保健医療システムが求められる。


論点3:都道府県や地域ベースで、持続可能な開発目標(SDGs)に関する取組という形で地球環境と健康(プラネタリーヘルス)に関する好事例が生まれている。好事例の共有や横展開、さらには国際的な発信が期待される


各地域において過去の公害の経験をもとにした関係者の努力や、SDGsへの取組により、環境と健康に関する好事例や教訓が各地で蓄積されている。SDGs未来都市など先進的な事例の中で、環境問題のみにとどまらず、健康と結びつけた取り組みも多数あるため、国をはじめとした関係機関が予算措置等を行うことにより、全国への好事例の共有や横展開、さらには国際的な発信を積極的に推進すべきである。





■日本医療政策機構について
日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)は、2004年に設立された非営利、独立、超党派の民間の医療政策シンクタンクです。市民主体の医療政策を実現すべく、中立的なシンクタンクとして、幅広いステークホルダーを結集し、社会に政策の選択肢を提供してまいります。特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持し、フェアで健やかな社会を実現するために、将来を見据えた幅広い観点から、新しいアイデアや価値観を提供します。日本国内はもとより、世界に向けても有効な医療政策の選択肢を提示し、地球規模の健康・医療課題を解決すべく、これからも皆様とともに活動してまいります。当機構の活動は国際的にも評価されており、米国ペンシルベニア大学のローダー・インスティテュート発表の「世界のシンクタンクランキング報告書」における「国内医療政策」部門で世界2位、「国際保健政策」部門で世界3位に選出されています(2021年1月時点(最新データ))。
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