医療・医薬・福祉

保存期慢性腎臓病患者さんの約2割が診断を受けるまでに5年以上経過 診断が進まない実態が明らかに

日本ベーリンガーインゲルハイム
-保存期慢性腎臓病患者の経験と日常における負担に関する研究より-



維持透析や腎移植を受けていない日本人の保存期慢性腎臓病(以下、CKD)患者さんが対象
保存期CKD患者さんの疾患および治療の経験・認識をアンケート及び患者アドバイザリーボードで調査、患者さんの視点も採り入れて考察
日本ベーリンガーインゲルハイムで初めての患者さんとの共同執筆論文


一般社団法人ピーペック (東京都世田谷区、代表理事:宿野部 武志 以下「ピーペック」)と日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:ヤンシュテファン・シェルド、以下、「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は、日本での、透析や腎移植に至っていない保存期慢性腎臓病患者さんの経験や負担を明らかにする目的で実施した研究の結果が「Advances in Therapy」に掲載されましたのでお知らせいたします。

CKDは腎障害や腎機能の低下が持続する疾患です[1]。CKDが進行すると末期腎不全に至り、通常透析療法や腎移植術が必要となります[1]。また、CKDは死亡や心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患のリスクファクターです[2]。CKDの治療目的は、腎機能の低下を抑え末期腎不全への進行を遅らせること、および心血管疾患の発症を予防することです[3]。CKD患者さんは日々の生活習慣の改善、カロリー、塩分、蛋白質の摂取制限、高血圧や糖尿病などの原疾患に対する薬物治療など、総合的な治療・管理が求められ[1,3,4]、生活改善や治療に伴う経済的な負担だけでなく生活の質を低下させるとされています[5]。しかしながら、これまでに透析導入前の保存期のCKD患者さんの経験や負担を明らかにした報告は限られていました。

本研究では、維持透析や腎移植を受けていない保存期CKD患者の疾患および治療の経験や認識を把握することを目的に、複数のパネルを介して募集した維持透析および腎移植を受けていない(受ける予定のない)20歳以上の日本人CKD患者342名(50~60代が約半数)を対象に、ウェブによる匿名アンケート調査として2020年10~11月に実施し、専門家のアドバイスのもとに作成した質問票を用いて、患者の背景、疾病・治療、日常の負担、および今後の治療へのニーズや期待を収集しました。また、患者団体から推薦された患者さん5名の参加のもと、2020年12月にアドバイザリーボードを実施し、主に、アンケート調査の結果を基に事前に設定したトピックに焦点を当て、調査結果を補足、解釈するために必要な情報を収集しました。

研究結果から、CKDの診断のきっかけについては、81.0%が健康診断及び他疾患の治療時と回答し、CKDの診断を受けるまでの期間が5年以上だった割合が20.8%でした。CKDはその成因の違いからくる多様性が際立つ疾患であり、診断までに大幅な期間を要するケースがあることが分かりました。治療のゴールについては、CKDの治療を始める際、治療のゴールを共有された回答者は14.3%にとどまりました。明確なゴールの提示がないことへの不安や、ゴール自体の定義に関する疑問などがあることが分かりました。

疾患への理解については、65.7%が診断を受けるまでCKDを知らなかったと回答しています。これらの結果に伴い、CKDへの周囲の正しい理解や支援が未だ不足しており、それらの提供を促す必要があることが今回の調査により明らかになりました。また、CKD患者さんは、同じ疾患の患者さんのことをもっと知りたいと思っているが、保存期の患者同士の交流の場は十分ではないなど、共通する患者さんのニーズ・優先事項が明らかになりました。

ご自身もCKDの患者さんで今回の論文の共同執筆者でもあるピーペックの代表理事である宿野部さんはこう述べています。「現在、医療やライフサイエンスの領域においてPPI(患者市民参画)が進み、医療における様々な場面でも病気をもつ立場からの参画の機会が拡がっています。今回は私自身がもつ『腎臓病』をテーマに研究に関わらせていただいたことに大変感謝しております。本研究が腎臓病をもつ方の幸せにつながり、またこれからの腎臓病医療において貢献できることを心から願っています」 
また、本研究の専門家アドバイザー、本論文の責任著者である大阪医科薬科大学 腎臓内科 美馬 晶先生はこう述べています。「CKDに関する調査は多く実施されている中、透析に至っていない患者である保存期CKD患者さんの負担や日常などを調査した研究は限定的です。今回の研究により、明確な診断基準があるにもかかわらず、診断までに5年以上かかっている患者さんが約2割に上り、CKDに対する理解促進、及び患者さん同士のコミュニケーションの場をより多く作っていく必要性が明らかになりました」

ベーリンガーインゲルハイムとピーペックは日本の保存期CKD患者さんの日常における負担解消に貢献するため、引き続き活動してまいります。

論文は以下のリンクよりご覧いただけます。
https://link.springer.com/article/10.1007/s12325-022-02341-9

以上


参考情報
一般社団法人 ピーペックについて
ピーペックは、「病気をもっているからこそ社会を変えるパワーがある」という共通の想いを胸に、10年以上に渡ってそれぞれの慢性疾患領域において生活や就労支援、エンパワーメント支援の活動をしてきた仲間が集い、2019年に設立した一般社団法人です。病気をもつ人や、そのご家族、患者会、さまざまな企業、地域のみなさんとつながり、「病気があっても大丈夫」と言える社会の実現をめざしています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。ヒト用医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。

詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://ppecc.jp/
(一般社団法人ピーペック)
https://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)

References
1日本腎臓学会(編集). エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018. 東京医学社; 2018.
2 Matsushita K, van der Velde M, Astor BC, Woodward M, Levey AS, de Jong PE, et al. Association of estimated glomerular filtration rate and albuminuria with all-cause and cardiovascular mortality in general population cohorts: a collaborative meta-analysis. Lancet 2010;375:2073-81.
3日本腎臓学会(編集). CKD診療ガイド2012. 東京医学社; 2012.
4 Ikizler TA, Burrowes JD, Byham-Gray LD, Campbell KL, Carrero J-J, Chan W, et al. KDOQI Clinical Practice Guideline for Nutrition in CKD: 2020 Update. American Journal of Kidney Diseases 2020;76:S1-S107.
5 Pergola PE, Pecoits-Filho R, Winkelmayer WC, Spinowitz B, Rochette S, Thompson-Leduc P, et al. Economic Burden and Health-Related Quality of Life Associated with Current Treatments for Anaemia in Patients with CKD not on Dialysis: A Systematic Review. Pharmacoecon Open 2019;3:463-78.
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