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アストラゼネカのリムパーザ、米国にてHRR関連遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として承認取得

アストラゼネカ株式会社
バイオマーカーにより選択されたBRCA1/2またはATM遺伝子変異陽性の前立腺がん患者さんにおいて新規ホルモン製剤との比較で全生存期間を延長した唯一のPARP阻害剤 転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんの約20~30%がHRR関連遺伝子変異を有する


本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年5月20日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、5月20日、リムパーザ(一般名:オラパリブ)が相同組換え修復関連遺伝子変異(HRRm)を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の治療薬として米国で承認されたことを発表しました。

今回の米国食品医薬品局(FDA)による承認は、The New England Journal of Medicine(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1911440)に掲載された第III相PROfound試験の結果(https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019100701.html)に基づいています。

前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんであり、mCRPCに対する治療選択肢は増えてはきていますが、依然として5年生存率は低いままです。また、mCRPC患者さんの約20~30%にHRRmが認められます。

PROfound試験の治験責任医師の一人でノースウェスタン大学 Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Centerの副所長である Maha Hussainは次のように述べています。「前立腺がんは、他のがん種と比べてプレシジョン・メディシンへの対応が遅れていました。今回のリムパーザの承認により、米国においてHRRmを有するmCRPC患者さんに分子標的治療を提供できることを大変嬉しく思います。また、PROfound試験に対して、さまざまな国から患者さんやその家族、医師および研究チームが参加くださり、本試験に協力くださったことに感謝しています」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニットの責任者Dave Fredricksonは次のように述べています。「この度、リムパーザが前立腺がんに対する初の適応を取得いたしました。PROfound試験において、リムパーザはエンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステルと比較して、BRCA1/2またはATM遺伝子変異を有する患者さんに対する画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の中央値を2倍以上に延長し、加えて全生存期間(OS)を延長した唯一のPARP阻害剤です。これらの試験結果から、HRRmの遺伝子検査が進行前立腺がん患者さんの診断と治療選択のための重要な要素であるという考えがさらに確立されました」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「リムパーザは、HRRmを有するmCRPC患者さんに対して第III相試験結果を基に承認された唯一のPARP阻害剤です。今回の承認によって、これらの患者さんに対する治療の選択肢を特定するために、遺伝子検査がいかに重要であるかが明らかになりました。患者さんの治療アウトカムを改善するという目標の実現に向けて、アストラゼネカ社と協働し取り組んでいることを誇りに思います」。

PROfound試験の主要評価項目は、HRRmの部分集団であるBRCA1/2遺伝子変異またはATM遺伝子変異を有する患者さんに対するrPFSでした。本試験においてリムパーザは、病勢進行あるいは死亡リスクを66%低減し(ハザード比0.34に相当; p値 <0.0001)、rPFS中央値は、新規ホルモン製剤(NHA)であるエンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル投与群で3.6カ月であったのに対し、リムバーザ投与群では7.4カ月に延長しました。

加えてリムパーザは、主要な副次的評価項目である全HRRm患者集団でのrPFSに対してもベネフィットを示しており、病勢進行あるいは死亡リスクを51%低減し(ハザード比0.49に相当; p値 <0.0001)、rPFS中央値は、NHA投与群で3.5カ月であったのに対し、リムバーザ投与群では5.8カ月に延長しました。

2020年4月24日(https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020050801.html)に発表されたPROfound試験の新たな結果では、HRRmを有する患者集団のうち、主要な解析集団であるBRCA1/2遺伝子陽性またはATM遺伝子変異陽性のmCRPC患者集団において、リムパーザ投与群をNHA投与群と比較し、主要な副次評価項目であるOSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。リムパーザは死亡リスクを31%低減し(ハザード比0.69に相当; p値 0.0175)、OS中央値は、NHA投与群で14.6カ月であったのに対し、リムバーザ投与群では19.0カ月に延長しました。

今回リムパーザが承認された適応症は、NHAによる治療中または治療後に病勢進行が認められたHRR関連遺伝子に生殖細胞系列の病的変異、病的変異疑いの変異または体細胞変異を有するmCRPCです。治療対象となる患者さんは、指定された14のHRR関連遺伝子に変異がある症例であり、FDAが承認したリムパーザのコンパニオン診断検査によって判断されます。

なおリムパーザは、欧州およびその他の国でもHRR遺伝子変異陽性を有するmCRPCを対象に薬事承認審査が進んでいます。

アストラゼネカとMSDは、リムパーザおよびアビラテロン酢酸エステルとの併用療法とアビラテロン酢酸エステル単独療法とを比較しmCRPCの1次治療として評価するために実施中の第III相PROpel試験など、前立腺がんに関する臨床試験を複数実施しています。

※本邦においてmCRPCに対するリムパーザの適応は未承認です。

以上


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財務的対価
アストラゼネカは今回の米国におけるリムパーザ承認に伴い、MSDが2020年第2四半期中に計上予定である社外提携収入3,500万ドルを同社より受領する予定です。

転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんであり、2018年には世界中で推定130万人が新たに前立腺がんと診断され、高い死亡率を伴います(1)。前立腺がんの発症は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます(2)。男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます(2)。進行前立腺がん患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCRPC診断時に転移を有しています(3)。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます(3)。mCRPCに対する治療選択肢は増えてきていますが、5年生存率は依然として低いままです(3)。

相同組換え修復(HRR)遺伝子変異について
HRR遺伝子変異は、mCRPC患者さんの約20~30%に発現します(4)。正常細胞において、HRR遺伝子はDNAの損傷の正確な修復に関与しています(5,6)。よってHRRが欠損するとDNAの損傷が修復されず、正常細胞の死をもたらします(6)。しかし、がん細胞においてはこれとは異なり、HRR経路の変異が異常な細胞を増殖させ、がんを引き起こします(6)。HRRの欠損は、リムパーザなどのPARP阻害剤の標的となるがん細胞の特徴として立証されています。PARP阻害剤はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォークの停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を引き起こしがん細胞死を誘導します(6)。

PROfound試験について
PROfound試験は前向きな無作為化非盲検多施設共同第III相試験で、NHA治療薬であるアビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミドとの比較において、リムパーザの有効性と安全性を評価する試験です。本試験は、NHAによる治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、またはその他12のHRRに関連する遺伝子のいずれかに変異が認められるmCRPC患者さんを対象に実施しました。

この試験は、HRRmを有する患者さんをHRRmの種類により2つのコホートに振り分けて組み入れ、解析するよう設計されました。主要評価項目はBRCA1/2またはATM遺伝子変異を有する患者さんのrPFSであり、リムパーザが臨床的効果を示した場合、副次的な解析対象集団として、HRRm(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR関連遺伝子)を有する全患者さんを含めた集団も対象に解析を実施しました。

なお、米国においてはFDAによって承認された、以下のコンパニオン診断検査によってリムパーザによる治療選択の判断をします。
· FoundationOne CDx:前立腺がん組織におけるHRRmを有する患者さんを特定する
検査でFoundationOne は Foundation Medicine社の商標登録です。
· BRACAnalysis CDx:生殖細胞系BRCA1およびBRCA2遺伝子変異を有する患者さん
を特定するための生殖細胞系検査でMyriad Genetics社が所有、商業化を行っています。

リムパーザについて
リムパーザはファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復の欠損を有する細胞または腫瘍におけるDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として、現在EU諸国を含む多くの国で承認されています。白金製剤ベースの初回化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。また、本剤は化学療法による治療歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む多くの国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国およびその他数カ国においては、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの治療薬としても承認されています。加えて、卵巣がん、乳がん、膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国・地域において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、全世界で3万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザはDDRを標的とした新薬であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよびキナーゼ阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害剤との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca. (英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1.Bray et al. (2018). Global cancer statistics 2018: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA: A Cancer Journal for Clinicians, 68(6), pp.394-424.
2. Cancer.Net. (2019). Treatment of metastatic castration-resistant prostate cancer. www.cancer.net/research-and-advocacy/asco-care-and-treatment-recommendations-patients/treatment-metastatic-castration-resistant-prostate-cancer [Accessed: November 2019].
3. Kirby, M., 2011. Characterising the castration-resistant prostate cancer population: a systematic review. International Journal of Clinical Practice, 65(11), pp.1180-1192.
4.Mateo, J, et al (2015). DNA-repair defects and olaparib in metastatic prostate cancer. New England Journal of Medicine, 373(18), pp.1697 - 1708.
5.Li et al. (2008). Homologous recombination in DNA repair and DNA damage tolerance. Cell Research, 18(1), pp.99-113.
6. Ledermann et al. (2016). Homologous recombination deficiency and ovarian cancer. European Journal of Cancer, 60, pp.49-58.
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