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各国政府への要請:医療機関へのサイバー攻撃阻止で連携を

赤十字国際委員会

(C)ICRC
新型コロナウイルス感染症の世界的流行の最中にあって、医療の最前線で重要な役割を担う病院や保健事業団体、研究機関、国際機関へのサイバー攻撃を制御・阻止するため、世界のリーダーたちが動きました。5月26日に公開された書簡には、国際社会において指導的な役割を担う40人以上が名を連ね、迅速かつ断固とした行動を各国政府に要請。赤十字国際委員会 (ICRC) のペーター・マウラー総裁もそのうちの一人です。

政府や産業界、学界、国際機関ならびにNGOの重鎮が署名したこの書簡は、国連も交えて各国政府が手を携え、サイバー攻撃を禁止する国際ルールの見直しと審議を行うよう求めています。

過去数週間のうちに、チェコ、フランス、スペイン、タイ、米国などの医療施設をはじめ、世界保健機関 (WHO)などの国際機関や複数の保健当局がサイバー攻撃の被害にあっています。書簡はそうした事態を受けて発表されました。

パンデミック(世界的大流行)が宣言されて以来、ICRCがまとめただけでも、コロナ対応に携わる医療従事者や医療施設への直接的な暴力行為は、世界13カ国以上で計200件以上報告されています。実際は、私たちが把握しているよりも多くの攻撃が行われていると考えられます。そのような状況下にあるにもかかわらず、医療施設は「サイバー攻撃」というさらなる脅威に襲われたのです。

A call to governments:
Work together to stop cyber attacks on health care
公開書簡「各国政府への要請:医療機関へのサイバー攻撃阻止で連携を」

私たちは各国政府に要請します。病院や保健事業団体、医療研究機関、国際機関、ならびに医療関係者や国際公衆衛生機関へのサイバー攻撃を阻止するため、迅速で断固とした行動を取るべきです。国連を交えて各国政府が連携し、サイバー攻撃を禁止する国際ルールの見直しと審議が必須です。

パンデミックの最中に最前線で新型ウイルス感染症と対峙する医療施設や医療団体に対して、過去数週間にわたって攻撃が繰り返され、人命が危険にさらされました。かけがえのない医療施設の機能が阻害され、必要な物資や情報の供給に遅延が生じたほか、患者の治療が妨げられたからです。世界各地で数十万人が新型ウイルスの感染症により死亡し、感染者が数百万に上るいま、医療の重要性はかつてないほど高まっています。このコロナ危機が人類の生存を脅かす最後の危機とはならないでしょう。各国政府は、現在だけでなく将来も見据えて、明快な言葉をもってこう主張すべきです。「医療施設へのサイバー攻撃は違法であり、決して許されない」と。

武力を用いて保健インフラを攻撃することを容認しないのと同様に、サイバー空間における攻撃も到底受け入れられるものではありません。平時でも紛争時でもそのことに変わりはありません。医療事業と医療施設をあらゆる種類のサイバー攻撃から守るよう求めるICRCの要請に、私たちも賛同します。そして各国政府に対しては、政府間で協力し合い、市民社会や民間企業と連携しながら、医療施設が徹底して尊重され守られるようすること、そして加害者の責任を追及することを要求します。何よりも、各国政府は対策を講じて、病院や医療施設を狙ったサイバー攻撃を阻止すべきです。いまこそ、行動を起こすときです。




サイバー攻撃の手口は、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃から偽情報の拡散まで多岐にわたります。前者は、支払いを要求し、やり取りをする中で、プライマリーケアと緊急医療用のネットワークに不具合を生じさせるもの。後者は、検査施設やワクチン研究施設など、パンデミック対応に追われる当事者を幅広く攻撃し、妨害します。攻撃が成果を上げたケースを見てみると、医療の提供が妨げられ、医療機関の財政にさらなる痛みが生じていました。医療が最も必要とされているいま、サイバー攻撃に対する医療分野の脆弱性が浮き彫りになったのです。

ICRCは以前、「医療施設は悪意のあるサイバー攻撃に特に弱い」という懸念を提起しました。医療施設に対する最近のサイバー攻撃で、それは明確になりました。パンデミックや武力紛争といった、人間の命を脅かす危機に瀕すると、病院の必要性は空前の高まりを見せます。

病院のコンピューターや医療機器の作動を阻害し、医療用品の物流を滞らせるサイバー攻撃は、医療サービスを妨げる恐れがあるほか、診療を受けようとする人たちに大きなリスクをもたらします。病院が機能しなくなれば、救命治療が受けられなくなるでしょう。

武力紛争の際に医療施設を保護することは、国際人道法の核となる要素です。ジュネーブ諸条約も、医療施設と医療従事者が尊重され、保護されるべきであると明示しています。交戦国はサイバー攻撃によって医療インフラに危害を加えてはならず、攻撃に付随する被害を避けるために十分な注意を払わなければなりません。

デジタル化した現代社会では、サイバー攻撃も武力紛争の手段として実際に用いられるようになりました。サイバー空間における軍事力を発展させる国も増えていて、サイバー攻撃の増加も見込まれます。パンデミックの最中に医療が脅かされたことは、サイバー攻撃が近い将来医療施設に与える脅威を知らせるための警鐘にほかならないのです。

署名した人々:
・Dapo Akande, Professor of Public International Law, University of Oxford
・Madeleine Albright, Former Secretary of State, United States
・Ban Ki-moon, Former Secretary General of the United Nations
・Lakhdar Brahimi, Former Foreign Minister, Algeria
・John Bruton, Former Taoiseach, Ireland
・Fernando Henrique Cardoso, Former President, Brazil
・Margaret Chan, Former Director-General, World Health Organization
・Eva Chen, Chief Executive Officer, Trend Micro
・Stephane Duguin, Chief Executive Officer, CyberPeace Institute
・Mohamed ElBaradei, Former Director General of the International Atomic Energy Agency (Nobel Peace Prize Laureate)
・Beatrice Fihn, Executive Director of the International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (Nobel Peace Prize Laureate)
・Mikhail Gorbachev, Former President, Soviet Union (Nobel Peace Prize Laureate)
・Gro Harlem Brundtland, Former Director General, World Health Organization
・Zhixiong Huang, Professor of International Law, Wuhan University
・Igor Ivanov, Former Foreign Minister, Russia
・Ellen Johnson Sirleaf, Former President, Liberia (Nobel Peace Prize Laureate)
・Eugene Kaspersky, Chief Executive Officer, Kaspersky
・Khoo Boon Hui, Former President, INTERPOL
・Larry Kramer, President, William and Flora Hewlett Foundation
・Ricardo Lagos, Former President, Chile
・Doris Leuthard, Former President of the Swiss Confederation
・Adrian Lovett, President and Chief Executive Officer, World Wide Web Foundation
・Susana Malcorra, Former Foreign Minister, Argentina
・Peter Maurer, President, International Committee of the Red Cross
・Daniel Mitov, Former Foreign Minister, Bulgaria
・Eduardo Montealegre, Former Foreign Minister, Nicaragua
・Marty Natalegawa, Former Foreign Minister, Indonesia
・Nandan Nilekani, Non-Executive Chairman of the Board, Infosys
・Ngozi Okonjo-Iweala, Former Finance Minister, Nigeria
・Maia Panjikidze, Former Foreign Minister, Georgia
・Zeid Ra’ad Al Hussein, Former UN High Commissioner for Human Rights
・Sir Richard J. Roberts, Chief Scientific Officer, New England Biolabs (Nobel Laureate in Physiology or Medicine)
・Francesco Rocca, President, International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies
・Julio María Sanguinetti, Former President, Uruguay
・Juan Manuel Santos, Former President, Colombia (Nobel Peace Prize Laureate)
・Samir Saran, President, Observer Research Foundation
・Marietje Schaake, Former Member of the European Parliament
・Michael Schmitt, Professor of International Law, University of Reading
・Wendy Sherman, Former Under Secretary of State for Political Affairs, United States
・Brad Smith, President, Microsoft
・Helle Thorning Schmidt, Former Prime Minister, Denmark
・Desmund Tutu, Archbishop Emeritus of Cape Town (Nobel Peace Prize Laureate)
・Danilo Türk, Former President, Slovenia
・Lech Wałęsa, Former Polish President (Nobel Peace Prize Laureate)
・Sir Graham Watson, Former Member of the European Parliament, UK
・Harold F. Wolf III, Chief Executive Officer, Healthcare Information and Management Systems Society
・Ernesto Zedillo, Former President, Mexico
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