美容・健康

新規原料「トレハンジェリン」がバリア機能を向上することを確認

株式会社ファンケル
―北里大学および長瀬産業との共同研究結果を発表―

株式会社ファンケル(神奈川県横浜市、代表取締役社長:島田和幸、 以下「当社」)は、2016年から北里大学(東京都港区、理事長:小林弘祐、以下「北里大学」)、長瀬産業株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:朝倉研二、以下「長瀬産業」)と共同で、「トレハンジェリン」の皮膚に対する有効性および化粧品原料開発に関する研究を進めてまいりました。このたび、「トレハンジェリン」が皮膚のバリア機能を強化することを確認しましたので、お知らせします。 なお本内容は、日本薬学会 第140年会(2020年)において「新規トレハロース化合物(trehangelin)のバリア機能に関する研究」として発表しました。       【神谷義之1),横田麻美1),鈴木民恵1),桜井哲人1),中島琢自2),高橋洋子2),大村 智2)】  1)(株)ファンケル 総合研究所、2)北里大 北里生命研


<研究方法と結果>
【研究実施にあたり】
バリア機能は、外部からの刺激や異物の侵入に対して肌を守り、身体の内側に蓄えている水分を保持する重要な機能です。バリア機能の役割を担うのは、皮膚の最外層である角層に存在する「角層細胞間脂質(※1)」です。この「角層細胞間脂質」の配列が、規則正しく形成されているとバリア機能の強化につながります。また、角層直下の層である顆粒層(かりゅうそう)には、細胞同士を接着させて細胞間の隙間を埋めるタンパク質の「クローディン1(※2)」が存在します。この「クローディン1」は、細胞同士を接着させることで外部からの物質の侵入を防ぐのに重要であり、バリア機能にも影響のあるタンパク質です。これらの内容を踏まえ、以下の研究を行いました。

【「トレハンジェリン」のバリア機能強化作用を確認】
当社では、「トレハンジェリン」の添加の有無で人工の角層細胞間脂質をそれぞれ作成し、細胞間を形成する脂質ラメラ構造(※3)の促進を確認しました。その結果、「トレハンジェリン」を添加した角層細胞間脂質は、添加なしに比べて脂質ラメラ構造の規則正しい形成が8倍促進することを確認しました(図1)。また培養したヒト表皮角化細胞(※4)にも、「トレハンジェリン」の添加の有無で比較すると、添加した細胞では、「クローディン1」のタンパク質発現量が促進されていることを確認しました(図2)。以上のことから「トレハンジェリン」は、角層細胞間脂質の規則正しい形成の促進と細胞を接着させるタンパク質「クローディン1」の発現量を促進することが分かり、結果としてバリア機能を強化することが確認できました。

<研究背景と今後>
「トレハンジェリン(図3)」は、2015年にノーベル生理学医学賞を受賞した 北里大学 北里生命科学研究所(現 大村智記念研究所) 大村 智 博士の研究グループが2013年に発見した物質です。

2016年から、当社の有する皮膚科学分野の評価技術と、長瀬産業の生産技術を相互に共有し、発酵技術を用いた化粧品素材の共同研究を進めてまいりました。これまで、「トレハンジェリン」にはコラーゲンやエラスチンなどを増やし、シワを改善する高い抗老化作用があることを報告してきました。このたび、皮膚に対する新たな生理機能として、バリア機能を強化する作用を発見しました。
「トレハンジェリン」は、放線菌の発酵によって生産される物質ですが、生産する量が少ないのが課題でした。長瀬産業の優れた発酵生産技術を用い、kakkoグループ会社のナガセケムテックスがトレハンジェリンを安定して生産することを可能にした結果、高品質な化粧品原料を大量に生産できるようになり、当社内での製品化を念頭に置いた各種試験が実施されるまでに至りました。
当社は、「トレハンジェリン」を安全性の高い素材として、アンチエイジングや保湿機能に関する研究を進めてきました。今後は、「トレハンジェリン」を配合した製品化に向け、よりスピード感を持って開発を行っていきます。

【用語説明】
(※1) 角層細胞間脂質
セラミド、脂肪酸、コレステロールなどの脂質成分から構成され、角層の隙間を埋めている脂質。細胞間の脂質が規則正しく配列することで、外的刺激から肌を守り、水分保持などのバリア機能を果たしている。
(※2) クローディン1
表皮の上層である顆粒層に発現しているタンパク質。細胞同士を接着させる主要タンパク質の一種であり、細胞間のバリア機能に密接に関わる。
(※3) 脂質ラメラ構造
角層の細胞間の構造で、脂質-水-脂質-水-脂質で続く層状のサンドイッチ状構造。ラメラ構造により肌の水分を保持している。
(※4) ヒト表皮角化細胞
皮膚表皮のいちばん内側の基底層で、細胞分裂により生まれる細胞。表皮では基底層、有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層と細胞が順に変化していき、最後は垢となって剥がれ落ちるという角化の過程をとる。
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