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パレスチナ・ガザ地区:「帰還の行進」から1年、抗議活動は続き医療の不足は深刻に

国境なき医師団
中東パレスチナのガザ地区で、パレスチナ難民の帰還を求めるデモ「帰還の行進」が始まって1年が経過した。ガザでは、ちょうど1年となる3月30日にも境界フェンス付近で抗議活動が起こり、ガザ保健省によると、イスラエル軍の実弾を受けた4人が死亡、64人が負傷している。今も人びとが銃撃されるなか、国境なき医師団(MSF)はガザ市内の病院で負傷者の治療にあたっているが、封鎖されたガザ地区では医療体制は損なわれ、人的および経済被害も甚大で、援助ニーズはガザ保健省やMSFなどが提供する援助をはるかに上回っている。MSFは、パレスチナ、イスラエルおよび全ての関係当局が、事態改善のために具体的行動をとる必要があると訴えている。


2018年6月に足を銃撃され、今も治療を続ける19歳の青年(2019年2月撮影) (C) Simon Rolin


見捨てられたガザの市民

2018年3月30日、ガザで「帰還の行進」が始まると、抗議活動はその後も続き、2019年2月までにイスラエル軍によって銃撃され死亡した人は189人、負傷者は6500人以上にのぼっている。負傷者の大半は満足な治療を受けられず、現在も多くの人が脚に複雑な重傷を負ったまま、苦しみながらも包括的な治療が受けられるのを待ち続けている。だが、10年以上もイスラエルの封鎖下に置かれたガザでは医療体制が崩壊し、人びとが十分な治療を受けることはできない。パレスチナ当局も、政治的な行き詰まりから市民の医療ニーズを優先せず、人びとは見捨てられた状態にある。

MSFはガザ市内の複数の病院と診療所で活動し、日々数百人の患者を治療している。負傷者のけがは縫合して終わるような単純なものではなく、脚の大部分を吹き飛ばされ、骨は粉々になっている。傷を洗浄して閉じる手術が何度も必要になる。傷が細菌に感染して、再建外科手術を受けられない人も多い。そもそも、ガザで再建外科手術を受けられる機会はほとんどない。MSFは入院棟も開設したが、ベッド数は不足し、薬剤耐性感染症に対応できる医師や、骨をつなぎ合わせるような複雑な手術を担う医師も足りていない。2018年の初め以来、MSFはガザの活動態勢をそれまでの3倍に拡大したが、それでも対応しきれない状況だ。

応えなければならない医療ニーズ

患者であふれるガザのMSF診療所の待合室(2019年2月撮影) (C) Simon Rolin

パレスチナとイスラエル、そして全ての関係当局が、状況改善に向けて具体策を講じる義務がある。すでに多くの死者、負傷者が出ているなか、境界フェンス沿いでは今も銃撃が起きて、ここ数週間で緊張はまた高まった。現在の政治状況に関わらず、こうした医療ニーズは応えなければならない。MSFは、繰り返し支持を求めたにも関わらず何の行動も起こさない国際社会にも失望している。

数千もの人びとが、傷の痛み、手足の切断、一生残る障害を抱え、先行き不透明なまま放置される危機に直面している。封鎖によって崩壊寸前のガザでは、その影響は撃たれた人だけでなく、社会全体に波及していく。政治的な対立で、ガザ地区に閉じ込められた人びとにこれ以上の苦しみを与えてはならない。
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